今回は、前回に引き続き「IPランドスケープ」とはどのようなものかについて紹介します。
[1]被引用状況を切り口とした分析
着目特許の被引用文献(つまり、着目特許が特許庁の審査段階で審査官によって引用され拒絶された後願の特許出願)は、着目特許と技術的に近い内容であり、しかも出願されているということはその被引用文献の出願人は着目特許と同じ技術に興味を持っているはずである。特に、その被引用文献が拒絶査定(特許にならない旨の決定)になっている場合は、着目特許のライセンス先の1次候補と考えてよい。その被引用文献が改良特許となっている場合は、着目特許の技術の提携先1次候補と考えてよい。
このように被引用状況はライセンス先や提携先の探索に活用できる。しかもそれは、客観的かつ網羅的な探索である。
加えて、この手法は、例えば「技術力ありと評判の会社」の技術が“ホンモノ”であるかどうか(どの程度の位置付けであるか)を評価することもできる。
ある分野の各特許につき、出願年と被引用件数をグラフ上にプロットすると(下図参照)、仮に2000件の特許ポートフォリオであっても1枚のグラフにプロットできる。この場合、右上の特許(すなわち、出願年が新しい割に被引用件数が多い特許)は、重要特許と考えられる。これは、「論文において被引用件数の多い論文は重要論文」と考えられることと同じ考え方である。
この手法により、特許ポートフォリオの中から重要特許を抽出できる。逆に、自社保有特許の棚卸し(維持する/放棄するといった1次仕分け)に使用することもできる。
特許ポートフォリオのライセンス先や提携先の探索を行うときは、一旦特許ポートフォリオから上記手法によって重要特許(数件でもよい)を抽出し、その重要特許を着目特許として探索するとよい。