何がつらかったんですか?

 忙しすぎました。私1人で、クライアント企業と、転職希望者とのやり取りの両方を担当していたのですが、とにかく業務量が多い。企業に営業活動をしながら、転職希望者とコンタクトを取るためのスカウトメールを毎日こまめに送ります。コンタクトが取れたら、一人ひとり日程調整をした上で、実際に会って面談します。

 面談は、1日に平均で4人ほど。1週間で20人ですから、かなりの数です。面談の開始は相手の仕事が終わってからになることも多く、どうしても夜は遅くなります。疲れ切って帰宅したあと、スカウトメールを送って、次の日程調整をして……という毎日でした。面談では重たい人生相談をされることもあって、精神的にもハードでした。

それは過酷ですね……。

 はい、ヘトヘトでした。さらに、土日に出勤せざるを得ないこともありました。部署の営業成績が目標に達しないと、上司から部員に「足りない分は、業務量でカバーするしかない」というメールが来るんです。平日だけでは足りないから休日出勤せよという命令です。今思えば、ブラック職場ですよね。

 そんな中でも自分なりに頑張って、入社して2年目に営業成績で上位入りを果たしました。これを機に、「やるだけやった。もういいかな」と思い始めました。将来のことを考えても、家庭との両立は難しそうだし、長くいる職場ではないだろう。それで、次の職場を探し始めました。

キャリアカウンセラーが、自分の転職先を探したわけですね。

 はい。業務を通じて否が応でもいろんな情報が入ってきますから、それを参考にしましたね(苦笑)。求人の裏にある会社ごとの事情も分かりますから、それも踏まえながら情報収集しました。

 そして見つけた求人が、Web関連事業を手掛ける大手IT企業の人事担当です。東証一部上場で、業績も安定しているし、各種制度も整っている。激務に疲れ果てて、「とにかく落ち着きたい」という一心だったので、これだと思って決めました。

 でも結局、その会社は1年足らずで辞めました。

業務に手を抜いても、誰も困らない

えっ。その会社も激務だったんですか?

 いえ、逆です。今度は暇すぎたんです。

 私は人事部門に配属されて、新卒と中途の採用を1人で担当することになりました。1年間に、新卒は20人程度、中途は50~60人程度を採用するという役目です。

1人で何十人もの採用を担当。とても、暇そうには見えませんが。

 いいえ。正社員の担当者は私1人でしたが、外部の人材紹介会社に業務委託しているし、細かな事務処理は派遣社員のアシスタントが担当してくれる。それに大手なので、そもそもこちらが頑張らなくても人が集まるんです。

 そんなわけで、私がやるべき仕事は定時前に終わってしまう。でも、中途採用面接は夜に実施することが多いので、それまで帰れない。やることが無くて、ゴシップ系のWebサイトを読んで暇を潰していたりしました。

 仕事に対する評価も甘かった。その前の2社では、上司に対する進捗報告の際、必ずと言っていいほど厳しい突っ込みや指摘を受けていました。それが3社めは全く無くて、「えっ、この内容でも許されるの?」という感じでした。これだったら私が手を抜いても誰も困らないはずだ、私じゃなくて誰が担当になってもいいんじゃないか、という気持ちになっていきました。

それで、退職を決意したんですか?

 それが、実は少し迷いました。ちょうどそのころ、付き合っていた彼から結婚を申し込まれたんです。