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施工性で普及した高層外断熱

 直近では中東ドバイで15年2月に79階建ての超高層住宅「ザ・トーチ」の外壁が炎上した〔写真4〕。死者は出なかったが、50階付近で発生した火災は最上階まで延焼し、外壁が燃えて剥がれ落ちた。

〔写真4〕ドバイの超高層住宅「ザ・トーチ」
〔写真4〕ドバイの超高層住宅「ザ・トーチ」
2015年2月に火災が発生したドバイの79階建てマンション「ザ・トーチ」。50階付近が火元となり外壁材のサンドイッチパネルが延焼した(写真:新華社/アフロ)
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 この建物も、外装の被覆材に金属系サンドイッチパネルを採用している。アルミや亜鉛などの金属板でウレタンフォームなどの芯材を挟み込んだ材料だ。

 近年の外断熱方式の高層建築火災の事例に共通するのは、外装材が燃えると容易に上階に延焼範囲が広がる点だ。スプリンクラー設備など建物内部の防火設備が作動しても、外壁の延焼は止められない。当然、外階段による避難は不可能だ。

 危険性が指摘されながら、なぜ高層建築に外断熱方式を採用するのか。背景には、グリーンビルディングなど環境対応型建築の世界的な増加によるニーズの拡大がある。

 東京大学生産技術研究所の野城智也教授は、「老朽化した建物の改修で、外断熱化の工事はゴンドラなどを外壁に取り付けて作業するため、施工効率がいい」と説明する。改修の際に居住者や利用者を屋外に移動させる必要がないからだ。

 英国でもこの20年ほど、公営住宅などで外断熱化が進んできたという。今回の火災を受けて、同国政府が国内の高層住宅を緊急点検したところ、グレンフェル・タワーと同様の外壁仕様の60棟が検査基準を満たしていないことが分かった。