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都心の狭小地を中心に軒の出が小さい「軒ゼロ住宅」が増えている。雨漏りリスクが高まることを理解したうえで、雨漏りを防ぐ周到な準備が必要だ。

 軒を大きく出せば、壁面に雨が当たるのをある程度は防げる。また、屋根端部に防水上の問題があっても壁面と離れているので室内への雨漏りも生じにくい。「軒ゼロ住宅」では、そうした軒の効果が弱まり雨漏りリスクが高くなる。集中豪雨になれば、そのリスクがいっそう際立つのだ。

 「この雨漏りは軒の出が小さい住宅の典型的な事故だ」

 トラブル事例1についてそう話すのは、雨漏り診断士協会副理事長を務める第一浜名建装(浜松市)の久保田仁司社長だ。

片流れ屋根の棟部分(水上側)から雨水が浸入した事例。金属製の棟包みの裏側で野地板が露出していた。このため、風によって巻き上げられた雨水が、露出した野地板から浸入。入ってきた雨水は傾斜した屋根に沿って流れ、最終的に室内側での雨漏りにつながった(写真:第一浜名建装)
片流れ屋根の棟部分(水上側)から雨水が浸入した事例。金属製の棟包みの裏側で野地板が露出していた。このため、風によって巻き上げられた雨水が、露出した野地板から浸入。入ってきた雨水は傾斜した屋根に沿って流れ、最終的に室内側での雨漏りにつながった(写真:第一浜名建装)
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 雨漏りが発生したのは、愛知県内に立つ築10年の戸建て住宅。外壁は窯業系サイディング材で、裏面に通気層を確保したうえで、透湿防水シートを施工している。防水対策上、特に大きな問題はなさそうだが、強い風雨を受けた時に室内側で雨漏りが発生するようになったという。

 原因調査に当たった久保田社長が真っ先に着目したのが、片流れ屋根の棟部分(水上側)の納まりだ。金属製の棟包みの裏側を見ると、屋根の野地板が露出していた。この納まりでは、風によって巻き上げられた雨水が、露出した野地板部分から簡単に室内に流入してしまう。

 久保田社長は「軒ゼロ住宅の弱点となりやすい部位は、屋根と外壁の取り合い部。そこに隙間があると、容易に雨水の浸入を招く。特に、今回のような片流れ屋根の棟部に隙間があれば、傾斜に沿ってどんどん雨水が流れてしまう」と指摘する。

 雨漏りを解消するため、久保田社長は野地板の露出部分を覆う水切りを新設した。簡単な方法だが、これで雨漏りはなくなった。