ローランド・ベルガー代表取締役社長の長島聡氏は、潜在力(ありもの)を顕在化させ、それを組み合わせて新しいものを生み出そうという日本型イノベーション「和ノベーション」(関連記事)を提唱する。そんな長島氏と、日本の製造業の力を生かした価値創造を目指すという点で意気投合したのが、ベッコフオートメーション代表取締役社長の川野俊充氏。AI(人工知能)やVR(仮想現実)、IoT(Internet of Things)といった最先端技術も駆使して日本の製造業を盛り上げようと意気込む2人が、日本のものづくりの現場力を再発見すべく実力派の工場を訪ね、和ノベーションの可能性を探る。併せて、優れた技術や知見、ノウハウを擁するものづくりの現場での取り組みについて、寄稿やインタビュー、対談の形で随時紹介していく。

長島 聡(ながしま・さとし)
ローランド・ベルガー 代表取締役社長、工学博士
早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くのプロジェクトを手がける。近年は顧客起点の価値創出に注目し、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。また、アスタミューゼ、エクサインテリジェンス、エクシヴィ、カイゼン・マイスター、カブク、慶応SDM、ドリーム・アーツ、ベッコフオートメーション、リンカーズといった企業のアドバイザーの他、経済産業省「自動車新時代戦略会議」委員、中小企業庁・中小企業政策審議会専門委員など政府関係委員を歴任。自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「AI現場力」(日本経済新聞出版社)、「日本型インダストリー4.0」(日本経済新聞出版社)がある。
川野俊充(かわの・としみつ)
ベッコフオートメーション 代表取締役社長
東京大学理学部物理学科を卒業後、日本ヒューレットパッカード株式会社を経て2003年カリフォルニア大学バークレー校 ハース経営大学院経営学修士。日本ナショナルインスツルメンツ株式会社の事業部長、慶應義塾大学SFC研究所 上席所員を兼任し、2011年に「EtherCAT」開発元のベッコフオートメーション代表取締役社長に着任。ソフトウェアPLC/NC/RCのTwinCATによるPC制御ソリューションの普及に努めている。2017年より在日ドイツ商工会議所理事にも就任。