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 本連載では様々な素形材加工の現場を取り上げてきた。金属伸線、切削加工、メタルインジェクション、金属積層造形、精密板金などなど。どれも樹脂や金属を造形して形状や機能といった価値を生み出す匠の技に根ざしたものである。

 今回は「匠の技、デザインとのコラボで新境地」の回に登場いただいた玉井美由紀氏の紹介を受けて美光技研を訪れた(本社岐阜県美濃加茂市)。「傷をつけることで素材の価値を高める」という、これまで紹介した企業とは異なる発想の加工を実践している企業だ。

図1 美光技研
図1 美光技研
岐阜県美濃加茂市に本社を構える従業員10人の小さな企業。国内唯一の技術と設備を持つ。(写真:美光技研)
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 筆者らを迎えてくれた笑顔の柔らかい和田昇悟社長は創業46年の同社の3代目。父親で現会長の和田有司氏から事業を引き継ぎ、弟の和田幸大専務取締役と共に、研磨によって金属や樹脂にヘアライン仕上げやスピン仕上げなどを施す、「感性価値を高める加工」に取り組んでいる。

 同社の技術は、家電の銘板に研磨で模様をつける仕事からスタートした。ボール盤で砥石を回してアルミ合金板にスピン仕上げで浅い傷をつけると、光の反射具合によって輝く高級感や高いデザイン性のある板に生まれ変わる。

 操業当時は、銘板に高級感が欲しいという大手家電メーカーなどのニーズから仕事がどんどん増えていった。手作業ではさばききれないため自動化したいところだが、当時世の中にそんな加工ができる機械は無かった。そこで、スピン仕上げ加工のための機械を独自に開発。砥石の形や硬さにも工夫を重ねた。

 家電製品で実績を積むと今度は「トラックの化粧板に」と、大きな板を加工してほしいとの依頼が舞い込むようになった。当然、加工機も大きなものが必要。投資をして大型への対応を果たした。すると今度は建材業界からも声がかかるようになった。一方では、品質を突き詰めて加工精度が出るようになると、車の内装に使いたいとの引き合いも入った。名だたる国産高級車で採用されたという。

図2 美光技研の加工サンプル
図2 美光技研の加工サンプル
アルミニウム(Al)合金の平板に研磨加工で傷をつけたもの。光が反射して美しい模様を織りなす。社名がそのまま製品の特徴を表している。(写真:川野俊充)
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