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 近年、各地で個性的な木造建築が建てられているが、木材利用の市場として期待される都市木造はまだ少ない。多層化が必要な都市木造の普及には、「普通のビル」をつくれる汎用システムが不可欠だと指摘する。

東京大学生産技術研究所教授 腰原 幹雄氏(写真:都築 雅人)
東京大学生産技術研究所教授 腰原 幹雄氏(写真:都築 雅人)
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多層化には新しい木造の開拓が必要

 私は大学で教える傍ら、チーム・ティンバライズというNPO法人で活動している。同法人は、「伝統や慣習にとらわれることなく、木造の新しい可能性を模索し、木という素材に向き合おう」をスローガンに掲げる。

 木造の歴史が長い日本では、法隆寺をはじめとする伝統建築を礼賛し、ほかの木造を認めない傾向が一部にまだある。しかし、本来、木造にはいろいろなものがあってよいはずだ。木を、この時代の新しい材料としてとらえ直したら、どんな建築ができるのか。そんな視点でチーム・ティンバライズでは取り組んでいる。

 木を使った新しい建築としてキーワードとなるのは「都市木造」だ。