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爆裂で不法行為責任に

 かぶり厚の不備が引き渡し後に発覚すれば、事態は大ごとになることにも留意しておこう。

 コンクリートの打設後でも鉄筋探査の機械を使えば、非破壊でかぶり厚を調べることは可能だ〔写真8〕。基礎の立ち上がり部分であれば、不備があってもポリマーセメントの塗り足しなどで是正できる。問題はスラブ下だ。「後から測れない」と油断していると、前出の事例のように写真で指摘されかねない。修理は難しく、是正するには基礎を壊すしかない。

〔写真8〕電磁誘導式の非破壊検査機。かぶり厚が数字で示される(写真:カノム)
〔写真8〕電磁誘導式の非破壊検査機。かぶり厚が数字で示される(写真:カノム)
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 もちろん、かぶり厚の不備がほぼ基礎全体におよぶとしても、これまでの裁判事例を見る限りでは、かぶり厚6cmに対して1~2cm程度の不足なら、基礎を壊すまでの判断は出ないだろう。だが、無駄な紛争を行わないためにも施行令の数字は守りたい。

 爆裂などの現象が起きた場合は深刻だ〔写真9〕。鉄筋コンクリートは、鉄筋の位置まで中性化が進行すると鉄筋が腐食し始める。鉄筋が腐食すると元の体積の2.5~3倍に膨張するため、爆裂が生じる。この場合、瑕疵担保責任が求められる10年を経過していたとしても、過失が認められ、不法行為責任を追及される恐れがある。そうなるともはや、責任を逃れられないだろう。

〔写真9〕築15年~20年の建物で基礎に生じた爆裂の様子。左の写真は、鉄筋がむき出しになっている。かぶり厚がほとんどなかった状態だ。右の写真の現場では、鉄筋が腐食し赤茶色に変色していた(写真:カノム)
〔写真9〕築15年~20年の建物で基礎に生じた爆裂の様子。左の写真は、鉄筋がむき出しになっている。かぶり厚がほとんどなかった状態だ。右の写真の現場では、鉄筋が腐食し赤茶色に変色していた(写真:カノム)
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長井 良至(ながい・りょうじ)
長井 良至(ながい・りょうじ) カノム(名古屋市)社長。同社は新築・中古住宅の第三者検査や瑕疵調査、建築紛争の支援、私的鑑定などを手掛ける民間の住宅検査会社。調査実績は4500棟を超える。ホームページは、http://www.ie-kensa.com