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 有機EL照明は薄く、軽く、自然光に近いスペクトルを持ち、演色性が高い。こうした特徴を生かして、BtoBやBtoCの市場へ浸透させようと、たくさんの企業や技術者、研究者が努力を重ねてきた。LED照明と比較される中で、互いの特徴をそれぞれの分野で生かしつつ共存の道を模索してきた。

 しかし、有機EL照明は、いまだ本格的な普及には至っていない。世に出てから15年以上の歴史を持つ照明だが、市場拡大では苦戦が続いている。3~4年前には見切りをつけ、事業から撤退する企業も相次いだ。有機EL照明の市場は、いつ立ち上がるのだろうか?

新規参入が相次いだ、最初の10年

 2002年のNEDOプロジェクトへの参画企業を中心として有機EL照明の研究が始まり、開始、その後、パネル開発や事業化の動きが相次いだ。2006年7月にエイソンが有機EL照明事業を開始。2007年開催のライティング・フェアでは松下電工(現パナソニック)やNECライティングなどがパネルを展示した。2008年5月、世界初の「照明用有機ELパネル専業会社」としてルミオテックが設立。同じ時期に、韓国ではLG化学が有機EL照明事業を開始している。

 2009年、昭和電工は塗布型のリン光高分子有機EL素子に関して、従来構造の陰極・発光層・陽極・ガラス基板の構造の中に、光の反射を調整する層(誘電体層)を導入した製品を発表。同年11月には、コニカミノルタが35億円を投資するなど、各社が製品開発を加速させた。

 同年、照明学会は「有機EL照明ガイドライン作成準備委員会」を設置。2010年に「有機EL照明ガイドライン作成委員会」として活動開始を開始し、有機EL照明の本格普及を見据えた環境整備も始まった。

 2010年2月に、三菱化学とパイオニアが提携を発表し、MCパイオニアOLEDライティングが誕生した。同年4月にはイー・エル・テクノが事業開始。9月には、カネカが東北デバイス(現OLED青森)を買収。さらに、住友化学や昭和電工らも有機EL照明事業に参入した。NEDOのプロジェクトとして「有機EL照明の標準化」も進められ、山形大学が担当した。

 2011年は、東日本大震災が発生した年だ。地震があった3月11日はライティング・フェアの開催中。世界中から集まった照明企業の関係者は肩を寄せ合った。くしくも、この震災後にLED照明の市場拡大が始まった。

 同年4月に、パナソニック電工と出光興産はPIOLを設立。同じ4月に、コニカミノルタとフィリップスが提携。コニカミノルタが世界初のオールリン光を採用した有機EL照明を開発し、同年7月から販売開始した。生産はオランダ・フィリップスライティングが担当した。基本回路を筐体に組み込んだサンプルキットの価格は9万円前後だった。カネカも同年4月から、白、赤、橙、青、緑の5色の有機EL照明パネルを販売開始している。

 サンプル出荷やプレ量産出荷という視点で見ると、先陣を切ったのは、三菱重工業やローム、凸版印刷、三井物産などが出資したルミオテックだ。同社は他社に先駆けて、2010年にサンプル出荷およびプレ量産出荷をしている。同社を追うように、三菱化学、カネカ、パナソニック、コニカミノルタはそれぞれ2010年にサンプル出荷、2012年にプレ量産出荷を開始。2014年にはルミオテック、三菱化学、コニカミノルタの3社が本格量産を開始した。

 さらに、住友化学が2014年からサンプル出荷を開始。同社は現在も継続して商業向けに販売を続けるとともに、フレキシブル有機EL照明の研究開発にも力を入れている。また、カネカは2012年1月、2015年度までに100億円強を投資することを決定した。その後、量産を2016年から始めている。