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鍵を握る2人のキーパーソン

 まず、ルミオテック買収のキーパーソンであるブイ・テクノロジー社長の杉本重人氏だ。ルミオテックは、三菱重工業、ローム、凸版印刷、三井物産という大企業の寄り合い所帯だったが、今後はオーナー企業として生まれ変わる。筆者は、杉本社長に直接話を聞く機会を得た。

杉本重人社長
杉本重人社長
(写真:ブイ・テクノロジー)

 杉本氏は、「ルミオテックはブイ・テクノロジー出資100%の資本のもとで、新たな舵を切る。これまでの“連合型”の意思決定ではなく、思い切った判断ができるだろう」と語った。今後の方針については、具体的な内容は言及しなかったが、スピード感のある決断で市場開拓を積極的に進めるとする。同氏は、「販売戦略が最も重要である」と言う。パネル価格を下げるとともに発光効率の向上も視野に入れ、マーケットを作るために、構造改革を断行する考えだ。

 ブイ・テクノロジーは、杉本氏が同僚3人と、1997年10月にフラットパネル・ディスプレイ(FPD)の製造装置メーカーとして設立したベンチャー企業である。2000年に東証マザーズ上場企業、2011年に東証1部上場企業へと育てた。業績はすこぶる好調。2018年2月に発表した2017年度(2017年4月~2018年3月)の売上高予想は660億円(前期比45.4%増)、営業利益は120億円(前期比121.6%増)を記録した。

 同社は2017年12月、有機EL用次世代蒸着マスク「ファインハイブリッドマスク(FHM)」の製造や次世代蒸着技術の開発を目的とする新会社「ブイ・イー・ティー(VET)」を、山形県米沢市に設立した。これと同時期に有機EL照明パネル製造のルミオテックを買い取り、2018年3月に完全子会社とした。ブイ・テクノロジーの社外取締役である山形大学の城戸教授が橋渡しをしたものだ。

 ブイ・テクノロジーはこれら2つの事業に向けて、今後2~3年で約50億円の設備投資を計画している。山形県米沢市に有機EL用蒸着マスクと蒸着装置の新工場を建設する計画だ。ルミオテックの買収は、こうした有機EL事業戦略の一環である。有機EL照明パネルの研究開発に従事するある関係者は「ブイ・テクノロジーによるルミオテックの買収は、ブイ・テクノロジーの新規事業のために現在の工場をデモ工場として機能させるとともに、自らパネルを製造することで製造技術を向上させて装置の信頼性を高めることを目指しているのではないか」と指摘する。

 なお、同社は東アジアを中心に事業ネットワークを拡大しており、製造装置の販売に加え、有機EL照明の販売も視野に入れている。