「USB PD(Power Delivery)」と呼ぶ充電規格では、最大100ワット(20ボルト×5アンペア)の電力を供給できる。パソコンの急速充電の規格としても採用されるようになってきた。USB PDは現在はUSB Type-C端子のみサポートし、対応する充電器や機器をUSB Type-Cケーブルで接続すると充電できる。
ただ、このUSB PDに対応するケーブルには一部制約がある。電力が60ワット(20ボルト×3アンペア)を超えるとケーブルのコネクターに「eMarker(イーマーカー)」というICチップの搭載が必須となる。eMarkerにはケーブルの製造元や通電容量などが書き込まれ、その情報を基に供給される電力が決まる。
ノートパソコンの上位機種では60ワットを超える電力が必要となる場合があり、eMarkerを搭載するケーブルを用意しなければならない。eMarkerを搭載するUSB Type-Cケーブルは従来のケーブルより高価で、家電量販店では1メートルで1650円程度(税込み、以下同)で売っている。だが、eMarkerを搭載したUSB Type-Cケーブルも、100均ショップで購入できるようになった。
キャンドゥやダイソー、ワッツ、シルクなどの各店で売られていた「何でも使える万能ケーブル~専用スタンド付~」は、eMarkerを搭載するUSB Type-Cケーブルだ。価格は550円で、最大100ワットの充電に対応するとうたう。
USBケーブルをチェックする機器で確認したところ、eMarkerの搭載を確認できた。コネクターに取り付けて使うスマホスタンドを付属し、スマホなどを立てて利用できる。ただ、スマホの充電には20ワット程度の出力があれば十分なため、このケーブルでなくてもよい。
eMarker搭載ケーブルを求める人が、スマホスタンドを使うかどうかについては疑問に感じた。ケーブルの長さは1メートルあるが、パソコンを充電するには短いからだ。せめて1.5メートルは欲しい。
この製品は、充電だけでなくデータ通信にも利用できる。ただし、データ通信の接続は「USB 2.0」となる。家電量販店で売られている安価なeMarker搭載ケーブルも同様の仕様の製品が多く、パッケージにもその旨記載されている。充電ケーブルとしては問題ないが、データ通信で使うと転送速度が遅いので注意したい。