砕石パイルで地盤補強した住宅が、北海道胆振東部地震でなぜ不同沈下したのか――。場所は震度7を記録した北海道厚真町。納得のいく説明を求めた住人の要望で、砕石パイルの地震後の状態を確認する試掘調査が2019年6月に実施された。
調査は、この砕石パイルを工法開発したハイスピードコーポレーション(松山市、以下ハイスピード社)と、建築・地質・地盤の専門家グループが個別に実施した。専門家グループのメンバーは建物修復支援ネットワーク(新潟市)の長谷川順一代表、地盤品質判定士の工藤康雅氏、ソイルペディア(東京都中央区)の出頭宗隆・北海道支社長、ユーテック(北海道北見市)の加藤友一代表の4人だ。
調査した住宅は築10年の木造平屋建てで、地盤に直径400mmの砕石パイルを深さ4.5mまで、計48本施工していた。
18年9月に発生した地震でこの住宅は、道路側に最大1000分の15の勾配で傾斜。道路側中央部の沈下量が86mmと最も大きく、外壁と基礎表面には亀裂が生じた。
ハイスピード社の工法は、ドリルで軟弱地盤を柱状に掘削し、この孔に直径20~40mmの天然砕石を投入して、ドリルの打撃で砕石を締め固めながら補強体を形成する。
砕石パイルと周辺の原地盤の支持力を合わせ、地盤全体を“複合地盤”として必要な支持力を見込むという考えだ。日本建築総合試験所の性能証明を取得している。軟弱層では投入する砕石量が増えて杭の直径が広がるなど、杭形が原地盤の影響で変わる特性がある。