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災害時の使い道をマニュアル化

人命救助や応急復旧など、災害直後の初動対応に活用する動きはありますか。

 国土交通省や自治体では、かなり浸透してきていると言えるでしょう。

 衛星データの活用は今や、様々な機関の防災計画に盛り込まれています。17年4月に政府の中央防災会議が防災基本計画を改定し、災害時の情報収集の手段に人工衛星を初めて追加しました。現在はその下位計画である国交省の防災業務計画にも反映しています。

内閣府中央防災会議の防災基本計画には2017年4月、国土交通省の防災業務計画には18年9月に、災害時の情報収集手段として人工衛星の活用を明記した。内閣府と国交省の資料を基に日経コンストラクションが作成
内閣府中央防災会議の防災基本計画には2017年4月、国土交通省の防災業務計画には18年9月に、災害時の情報収集手段として人工衛星の活用を明記した。内閣府と国交省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 さらに、国交省とJAXAは17年5月、災害時におけるだいち2号の観測データの提供に関する協定を結びました。従来は内閣府を介してJAXAの衛星データを国交省に提供していたところを、国交省がJAXAに直接、緊急観測を要請することで、より迅速に災害対応の現場で使えるようになりました。

 その直前の3月には、衛星データから水害や土砂災害の被害規模などを把握する際のポイントや、災害直後の活用方法をマニュアルにまとめました。SARの調査結果からあらかじめ調査の必要性が高い地域を絞り込んで航空機やヘリコプターによる詳細調査を効率化するなど、初動対応への組み込み方を示しています。

18年は国内で大きな災害が相次ぎました。作成したばかりのマニュアルは機能したのでしょうか。

 実は、7月の西日本豪雨で期待通りの効果を上げた場面がありました。国交省中国地方整備局が防災ヘリによる詳細調査でルートを選定する際に、衛星データを参照したと聞いています。その時初めて、広島県呉市の安浦地区で大規模な土砂災害が生じている可能性が高いと分かったのです。