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 米アップル(Apple)は毎年恒例の新製品発表イベントを2018年9月12日(米国時間)に開催し、「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」「Apple Watch Series 4」の4製品を発表した。

 9月のイベントはもともと新学期シーズンをターゲットにiPodなどの新製品やiTunes Storeなどの新サービスを扱うものだった経緯もあり、iPhoneのイベントに取って代わられた後もハードウエアとサービスの両面でプレゼンテーションが展開されていた。だが今回はどちらかといえば純粋にハードウエア製品の紹介に徹したものとなった。

 一部で話が出ていたiPad Proの新製品は発表されず残念な気持ちを抱いた方もいるかもしれないが、アップルが10月以降にまだ隠し球を持っているのだと考えて楽しみにするといいだろう。

イベントで筆者が最も気になった製品はApple Watchだった
イベントで筆者が最も気になった製品はApple Watchだった
(出所:米アップルの発表会映像、以降も同様)
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センサーの塊「Apple Watch Series 4」に期待

 今回のイベントの雑感だが、新プロセッサ「A12 Bionic」を使ったカメラやARでの新しい提案など、iPhoneで新鮮みを出そうという空気は伝わってきたものの、発表された3機種はいずれも買い換え意欲を刺激するには至らず、2019年以降まで購入の見送りを決断させるものだった。

 筆者は携帯電話回線を米国と日本で1回線ずつ契約しており、それぞれiPhone 7 PlusとiPhone 8で使っている。iPhone 8については今年1月に購入したばかり。2018年モデルが発表された今、iPhoneを買うなら「8」が一番のお勧めだと考えている。実際、2018年9月の初登場時に699.99ドル(税別)だったiPhone 8は、今回の新製品発表で599.99ドルへと値下げされ、だいぶお買い得になった。今夏にスマートフォンの買い換えを考えていた友人たちにはiPhone 8を薦め、そのうちの1人には店舗での購入にまで付き合った。

 新モデルの共通点は、iPhone Xで導入された「ホームボタン廃止」と「Face ID搭載(いわゆるノッチの採用)」だ。基本的にメインストリームのモデルはすべて「Face ID+ノッチ」の構成で統一されることになった。代わりに旧モデルにあったホームボタンと指紋認証の「Touch ID」が使えなくなったわけだ。筆者としてはApple Payで使い勝手のよいTouch IDのほうが好みなので、Face IDにはあまり魅力を感じていない。

 Face ID認証では、事前にボタンをダブルクリックして認証を行った後に、店舗のレジ横に置かれた非接触決済端末にiPhoneを近付ける必要がある。これに比べ、Touch IDならホームボタンに認証に使う指(筆者は親指と人差し指を登録している)を載せて、端末にiPhoneを近付けるだけでいいので非常に楽だ。パフォーマンス的にもiPhone 7 PlusやiPhone 8ならば不満はなく、今回のイベントではさらに3世代以上前の「iPhone 5s」でのiOS 12サポートもうたっており、当面困ることはなさそうだ。

 今回のイベントでむしろ気になったのは、iPhoneよりもApple Watch Series 4のほうだ。Series 4は心拍に加え、心電図(ECG)計測まで可能になり、医者や医療機関が欲しがる患者の基礎情報を簡単に入手できるようになった。

 医者が費やす時間の大部分は治療や投薬などではなく、患者の基礎データ入手や面談によるコンサルティング的な作業にあることを考えれば、定期的に基礎データの吸い上げが可能なSeries 4の仕組みは医療の生産性を大きく改善する。病院に行かずとも、腕時計を身に着けているだけでデータが入手できるため、異常の早期発見など予防的な効果も期待できる。

 調査会社の米IDCが9月4日に発表した最新データによれば、2018年第2四半期だけでアップルはウエアラブル機器、つまりApple Watchを470万個出荷している。Series 4のような心電図計測まで可能なセンサーの塊が1千万台単位で毎年市場に投入されているわけで、これだけで新しいビジネスの種と言える非常に興味深いものだ。

心電図(Electrocardiogram:ECG)取得にも対応したApple Watch Series 4
心電図(Electrocardiogram:ECG)取得にも対応したApple Watch Series 4
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