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 東日本大震災で立体駐車場のスロープが崩落して8人が死傷した事故は、刑事責任を問われた構造設計者が二審で逆転無罪となった。その一方で、10億円超の損害賠償を求める民事訴訟が提起された。

 東日本大震災で立体駐車場の車路スロープが崩落して2人が死亡し、6人が重軽傷を負った「コストコ多摩境店」(東京都町田市)。この事故をめぐっては、2つの民事訴訟が東京地方裁判所に提起された。

東日本大震災を受けて立体駐車場の車路スロープが崩落。乗用車が3台下敷きになり2人が死亡、6人が重軽傷を負った。2002年8月に竣工した同店は着工の直前で構造設計を変更しており、変更の依頼を受けた構造設計者が刑事責任を問われた(写真:日経アーキテクチュア)
東日本大震災を受けて立体駐車場の車路スロープが崩落。乗用車が3台下敷きになり2人が死亡、6人が重軽傷を負った。2002年8月に竣工した同店は着工の直前で構造設計を変更しており、変更の依頼を受けた構造設計者が刑事責任を問われた(写真:日経アーキテクチュア)
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 原告は外資系保険会社2社。欧州保険会社は、店舗を目的とする企業財物総合保険契約をコストコ社と締結していた。米国保険会社は、コストコ社との保険契約に基づき事故の被害者の遺族に対する損害賠償金を保障している。

コストコ多摩境店の事故をめぐる民事訴訟の相関図。欧米2社の保険会社がそれぞれ、コストコ社と事故の被害者らに支払った保険金は被告ら4者の過失によるものとして求償している(資料:訴状と取材を基に日経アーキテクチュアが作成)<br>※原告の米国保険会社は、2014年9月に高木直喜建築事務所に対してのみ損害賠償を請求。その後、16年4月に意匠設計事務所、構造設計事務所、大林組を連帯で提訴している
コストコ多摩境店の事故をめぐる民事訴訟の相関図。欧米2社の保険会社がそれぞれ、コストコ社と事故の被害者らに支払った保険金は被告ら4者の過失によるものとして求償している(資料:訴状と取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
※原告の米国保険会社は、2014年9月に高木直喜建築事務所に対してのみ損害賠償を請求。その後、16年4月に意匠設計事務所、構造設計事務所、大林組を連帯で提訴している
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 保険2社は保険金などの求償権に基づき、多摩境店の設計・施工に携わった被告4者を相手取り代位求償(保険金の支払い後に被保険者から譲り受けた求償権を行使)した。欧州保険会社は2014年8月に意匠設計者と構造設計者、高木直喜建築事務所(石川県野々市市)、大林組を東京地裁に提訴、連帯で10億9754万円の支払いを求めた。

コストコ多摩境店のスロープ崩落事故でコストコ社と保険契約を結んでいた欧州保険会社が被告4者に請求する求償金。約11億円が設計・施工者に求められる(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
コストコ多摩境店のスロープ崩落事故でコストコ社と保険契約を結んでいた欧州保険会社が被告4者に請求する求償金。約11億円が設計・施工者に求められる(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 米国保険会社も14年9月に高木事務所を東京地裁立川支部に、刑事訴訟の一審判決後の16年4月に残る3者を東京地裁に訴え、4者連帯で1億4861万円を求償した。

コストコ社との保険契約に基づき事故被害者への損害賠償などを支払った米国保険会社の求償金。当初は高木直喜建築事務所のみを提訴していた(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
コストコ社との保険契約に基づき事故被害者への損害賠償などを支払った米国保険会社の求償金。当初は高木直喜建築事務所のみを提訴していた(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 コストコ社は12年2月に被害者の相続人との間で損害賠償金を支払って、和解および免責の合意をしている。