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 店舗本体の構造からブレースを除いた設計変更がスロープ崩落の一因と分析され、設計・施工者の責任が追及されている。背景に浮かび上がるのが、設計変更をめぐる体制だ。設計の現場で何が起こっていたのか、刑事裁判の判決を基に解説する。

 東日本大震災ではコストコ多摩境店の周辺に倒壊した建造物はなく、同店の被害の大きさは突出したものであった。地上4階建て、鉄骨純ラーメン構造の多摩境店は1階の床面積が1万m2を超える大規模建築物。どのようなメカニズムでスロープが崩落したのだろうか。

コストコ多摩境店の車路スロープの崩落状況。崩落したスロープの下には乗用車が3台あった(写真:日経アーキテクチュア)
コストコ多摩境店の車路スロープの崩落状況。崩落したスロープの下には乗用車が3台あった(写真:日経アーキテクチュア)
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 スロープ崩落の発生原因として認識されているのが建物本体とスロープをつなぐ「ガセットプレート」の破断だ。ガセットプレートは鉛直荷重を負担する鋼板部材で、水平方向の力に弱い。スロープは0通り(車路外側)のみに柱が設置されており、単体では独立する構造ではなかった。本体とスロープの接合部となる1通り(店舗建物側)は、車路の上下段ともにスロープの梁が本体の柱にガセットプレートを介したピン接合で取り付けられていた。スロープのコンクリートスラブは本体と完全に切り離されて施工されていた。

スロープの接合部で鉛直荷重を負担する板状の部材「ガセットプレート」の概念図。地震で破断したガセットプレートは直交梁を鉛直方向に支持できず、スロープが落下する事故につながったとみられる(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
スロープの接合部で鉛直荷重を負担する板状の部材「ガセットプレート」の概念図。地震で破断したガセットプレートは直交梁を鉛直方向に支持できず、スロープが落下する事故につながったとみられる(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 地震発生時、ガセットプレートはY方向(南北方向)に何度も面外せん断力を受けた。鉄板を何度も折り曲げるような感覚だ。座屈したガセットプレートは破断。スロープの直交梁を鉛直方向に支持できず、落下した可能性が高い。