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 地震被害を巡る裁判が建築の専門家にも大きな影響を与えようとしている。事故対応や防災問題に詳しい弁護士は、「人命が損なわれた重大事故では、責任追及がより厳しくなっている」と分析する。つくり手はどう備えるべきか。

 1995年1月の阪神大震災以来、地震被害は数多くの裁判を引き起こしてきた。東日本大震災関連だけでも、下図のように多くの裁判が存在する。東日本大震災の発生から8年目に入り、終結した裁判もある。

東日本大震災関連の主な訴訟。2018年6月時点(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
東日本大震災関連の主な訴訟。2018年6月時点(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 東日本大震災では、小売り大手コストコの店舗に設置されていた立体駐車場でスロープが崩落、構造設計者が刑事責任を問われた。この事故では設計者、施工者が保険会社に提訴され、今も民事裁判が続く。請求総額は約11億円だ。

8人が死傷したコストコ多摩境店事故。駐車場のスロープが東日本大震災の揺れで崩落。東京地方検察庁は構造設計者を起訴した。構造設計者は2審で無罪となったが、長期間の刑事訴訟に巻き込まれた。民事訴訟は現在も係争中だ(写真:日経アーキテクチュア)
8人が死傷したコストコ多摩境店事故。駐車場のスロープが東日本大震災の揺れで崩落。東京地方検察庁は構造設計者を起訴した。構造設計者は2審で無罪となったが、長期間の刑事訴訟に巻き込まれた。民事訴訟は現在も係争中だ(写真:日経アーキテクチュア)
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 ミューザ川崎シンフォニーホールの天井落下事故では、所有者の自治体が復旧費用約20億円を設計者や施工者に求償した。1審は請求を棄却したが、経営環境を考えるうえで震災裁判が大きなリスクとなっているのは間違いない(「震度5強で崩落したホール天井、復旧費20億円請求も設計・施工者に「過失なし」」参照)。

 大地震の被害を受けた被災者が、「天災なので仕方がない」と納得するとは限らない。年々、責任追及の勢いは増している。築30年以上の分譲住宅の液状化被害を巡り、住民訴訟が起こった例もある。

浦安液状化集団訴訟の現場。三井不動産が開発した「パークシティ・タウンハウスIII」。築30年超の分譲住宅を巡り、東日本大震災で発生した大規模な液状化被害の責任追及が行われ、住民側が敗訴(写真:日経アーキテクチュア)
浦安液状化集団訴訟の現場。三井不動産が開発した「パークシティ・タウンハウスIII」。築30年超の分譲住宅を巡り、東日本大震災で発生した大規模な液状化被害の責任追及が行われ、住民側が敗訴(写真:日経アーキテクチュア)
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