新興企業で急成長途上にある場合、長時間過負荷労働で事業を推進せざるを得ない場合がある。ある程度成長を遂げてスタッフや業績見通しに余裕ができたときに「スタッフに優しい人事制度」を設けるものと考えがちだ。

 しかし、メルカリの場合、設立当初から子育て中であったりこれから子供ができるというスタッフが多かった事情もあって、出産に伴う支援制度は整っていた。このようにメルカリではスタッフのライスステージが進むにつれて遭遇する問題に対してその解決策として新しい制度が登場することが多いという。介護支援制度も、子育てが一段落したスタッフが年齢を重ねていき、自分の親の介護に直面した段階で追加している。

制度は社内コミュニケーションで改善していく

 merci boxの中で、他であまり例を見ないのが「妊活支援」制度だ。不妊治療を受けるスタッフ(男性スタッフのパートナーが治療を受ける場合も対象)に対して、治療開始から10年間にわたって補助する。保険が適用できる治療の場合は費用の全額を、保険が適用できない治療でも自治体の助成金と会社の補助で本人負担が3割で済むようにしている。治療を受けることができるのは日本の病院に限っており、海外の病院で受けた治療は対象としていない。

 この制度を導入した理由について横井氏は「社会的に妊活のニーズが増えていることに加えて高額な費用が掛かること、公的補助が用意されているがその適用外となるスタッフが多く、彼らが治療を受けることを躊躇していた」ことを挙げている。

 大塚氏は過去、認可外保育園補助制度(認可保育園との差額を会社が負担する)を利用した。申請方法については社内で用意しているwikiページを参照すればすぐに分かるようになっており、捺印した申請書を必要とする手続き(主に公的補助を受ける申請で必要となる)以外は出社することもなくオンラインで可能だった。このような申請手続きを含めて、大塚氏は「制度を利用していて、特に不便や不満を感じるフローはなかった」と振り返る。

メルカリ PRグループの大塚早葉氏
メルカリ PRグループの大塚早葉氏
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 大塚氏は、産前産後の育児休暇制度も利用したが、長期の休みを取ることについて社内では「当然」と受け止めてくれたという。メルカリの小泉文明社長自ら妻の出産に合わせて休暇を取得するなど模範を示していることも、社内意識の醸成に大きく貢献している。

 横井氏によると、メルカリでは人事制度に限らずユーザーに提供するサービスでも「細かいところまで決めずにまず社内でリリースして、運用しながら微調整するケースが多い」という。社内で運用している段階で問題が判明した場合は、関係部署や担当者にフィードバックすることで短期間で改善できる態勢を整えている。

メルカリのオフィス内
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