当事者だから必要な制度が分かる

 エウレカが結婚、出産、育児といった問題に向き合うきっかけは、社員で初めて“当事者”が現れたときだった。人事を担当していた社員が出産を迎えるに際して、制度を整えていった。このとき実質的に制度立案に携わったのは、当事者である出産を控えた女性社員と石橋氏だった。

 当事者が制度立案に加わるとなると、「自分本位」になりすぎることが危惧される。だが、石橋氏は「不公平に見えても、ライフステージの変化による諦めを可能な限り軽減するために、やるべきことはすべてやろうという考えだったので、当事者がいて助かった」と説明する。一方で、メッセージの出し方は注意したと振り返る。「全ての人に出産や育児を問いかけるのではなく、あくまでもこの制度を必要としている対象者がいることをメッセージとして表現するように考慮した」(石橋氏)

 結婚祝いの制度で祝い金だけでなく、「最新便利家電」の購入資金支援(上限20万円)を創設したのも、石橋氏が自分で高機能家電を使ってみてそのメリット(家事にかかる時間の短縮効果)に気が付いたからだという。まさに当事者だからできた制度の例といえる。ちなみに対象者は全員この制度を利用しており、購入するのは全自動洗濯機に乾燥機、掃除ロボットが多いそうだ。

オフィス内には卓球台も置かれている
オフィス内には卓球台も置かれている
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 このほか、待機児童対策のための引っ越し金援助制度もある。これも、社員が保育園を探す段階に直面した問題を解決するのが目的だ。石橋氏は、「本来なら政府や自治体が解決する問題だが、それには時間がかかる。それまでに社員の保育園が見つからない不安を解決するためにこの制度を用意した」と述べる。

 また、保育園費用の援助や認可外保育園を利用した場合に認可保育園との差額を援助するのではなく、引っ越し金支援とした理由について石橋氏は「保育園費用援助と異なり、引っ越し代支援は問題を一気に解決でき、本人の精神的負担が少ないと判断した」と説明する。

 社員が飼うペットの世話を想定した制度「baniera for ペット」も用意している。もともと創業者が飼っている犬と一緒に出社していたこともあり(その犬は「CDO=Chief Dog Officer」という役職もあった)、他の社員にも同様にしてもらおうという理由で設けた。制度としては一緒に通勤するだけでなく、病院に連れていくための半休取得なども可能だ。