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求められる新たな四つのプレーヤー

 このように、パワートレーンの電動化はマイナスの影響がクローズアップされがちだが、全体でみればその対象市場は拡大していく。従来型の自動車産業がモビリティー産業に拡張されるイメージである(図3)。

図3 技術変化に伴う付加価値構造の変化
図3 技術変化に伴う付加価値構造の変化
新規部品やソリューション、サービスの登場により、従来のピラミッド構造が変化し、価値の源泉がそれらの構成モジュール・デバイスへとシフトする。(出所:ADL)
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 図3の灰色で示したOEM(OEM)を頂点とした従来の自動車産業の産業構造が、より広義のモビリティー産業として再定義されることで、従来よりもひと回り大きい成長産業として存在感を増していく。具体的には、モビリティー産業を成立させるには、以下の4種類の新たなプレーヤー(役割)が必要となる。

 一つ目は、OEMが展開してきたクルマの開発・製造・販売ビジネスの上位概念として出現しつつある「モビリティーサービス(MaaS)プロバイダー」である。代表例として、米ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)や中国・滴滴出行(DiDi)、シンガポール・グラブ(Grab)などのライドシェア事業者が挙げられる。ドイツ・ダイムラー(Daimler)やトヨタ自動車など既存のOEMも、自らのビジネスモデルを拡張することで積極的に取り込みを目指している領域である。

 二つ目は、モビリティーサービスや次世代自動車向けの「サービス・ソリューション・プロバイダー」や「システムインテグレーター」としての役割である。前者では、モビリティーサービス事業者向けの運行管理システムやコネクテッドサービス提供のためのサービス提供基盤、後者であれば自動運転車向けの統合システムや電動パワートレーンユニットなどが該当する。

 米IBMや同グーグル(Google)、中国・百度といったITサービス系のプレーヤーが新規参入を狙ったり、ドイツ・ボッシュ(Bosch)、同コンチネンタル(Continental)、デンソーなどの従来の大手ティア1サプライヤーが、既存ビジネスの拡張領域として取り込みを目指したりしている領域である。

 三つ目は、モビリティーサービスや次世代自動車向けの「キーモジュールサプライヤー」の役割である。自動運転車向けの画像認識システム、統合ECU(電子制御ユニット)、ダイナミックマップ、電動パワートレーン向けのバッテリー・マネジメント・システムなどが該当する。

 その特徴としては、ハードウエアとソフトウエアの融合が必要になる。イスラエル・モービルアイ(Mobileye)や米エヌビディア(NVIDIA)、ドイツ・ヒア(HERE)などの新興技術サプライヤーと既存のティア1サプライヤーとの間での競争・協調が激しくなっている領域である。

 最後の四つ目が、次世代自動車向けの「キーデバイスサプライヤー」である。代表例を挙げれば、LIDARなどの自動運転向けのセンサーデバイスやEV用のバッテリーなどである。グローバルに新旧サプライヤーがしのぎを削っている領域だ。