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「すり合わせ型開発」がリスクに

 次に、市場の成長性は中程度であるが、日系部品メーカーの競争力が特に高いパワーステアリングやスターターなどのメカトロ系部品や空調などの熱マネージメントシステムの領域については、ドイツメーカーを中心とした欧州勢が導入を始めているモデルベース開発(MBD)と呼ばれる開発プロセスのデジタル化の普及が最大のリスクになる。

 MBDの導入により、この領域での日本企業の強みであった「すり合わせ型開発」が差別化につながらなくなるリスクが高まっている。この領域での競争力を維持していくためにも、日本メーカーもMBDの導入を加速させていく必要がある。

 逆にこれらデジタル技術の導入のタイミングで大きな差がなくなれば、ツールの使いこなしの面では、元々すり合わせ開発力に優れた日系部品メーカーが競争優位を維持できる可能性は高いだろう。

 また、市場の成長性では二つ目のカテゴリーに及ばない成熟領域であるが、日系部品メーカーが一定の競争力を有しているワイヤーハーネスや小型モーター、照明部品、ターボチャージャーなどの吸排気部品やエアバックなどの安全部品については、MBD導入などの開発のデジタル化推進に加えて、システム化対応による単品ビジネスからの脱却を目指していくべきであろう。

 ただし、ここで言う「システム化」とは、欧州メーカーが得意とするようなトップダウンでデファクトスタンダード型の製品を提案するという意味ではない。個々の顧客の抱える課題やニーズに合わせて、複数の要素技術や個別部品を柔軟に組み合わせて提供するボトムアップのシステム化を目指すべきである。

 このような戦い方は、多くの日系部品メーカーがこれまで実際に行ってきている。その戦い方に磨きをかけることにこそ、日系部品メーカーの活路があるだろう。

 一方、市場の成長性と日系メーカーの競争力が共に高くない成型加工を中心とした領域に関しても、前述のようなボトムアップのシステム化提案力を磨くことが重要である。これにより、差別化を求めるOEMのカスタムニーズに少量でも応えられる体制を構築しながら、高付加価値のビジネスの比率を高めていくことが必要となるだろう。