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上部工事のジョイント据え付け時に発覚

 A1橋台の変状が判明したのは13年4月下旬。上部工事を担当する建設会社が、桁と橋台との間にジョイント装置を据え付けるために確認の測量を実施したところ、設計上の位置から水平方向に156mm、鉛直下方向に59mmそれぞれずれており、全体として海側(南東側)に0.2度傾いていることが分かった。

A1橋台に生じた変状のイメージ。破線が設計上の位置、赤の実線が変状発生後の位置。水平方向に156mm、鉛直下方向に59mm、傾斜角は0.2度の変位量が観測された。A1橋台の変状に伴い上部工も若干動いた(資料:国土交通省中部地方整備局)
A1橋台に生じた変状のイメージ。破線が設計上の位置、赤の実線が変状発生後の位置。水平方向に156mm、鉛直下方向に59mm、傾斜角は0.2度の変位量が観測された。A1橋台の変状に伴い上部工も若干動いた(資料:国土交通省中部地方整備局)
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 報告を受けた紀勢国道事務所は、工事を一時中断。再び測量などの調査を行い、「地山の変状による影響」と「橋台自体の変状」という2つの観点から原因究明に臨んだ。

 調査で地山には変化が見られないことを確認した同事務所は、橋台そのものに原因があると判断。「基礎杭の先端が支持層に達していないのかもしれないと考えた」(中部地整紀勢国道事務所の積木優副所長)。ボーリング調査を計画時の3カ所とは異なるポイントで実施。橋台の外周4隅と海側に少し離れた位置の計5カ所で調査した。

 その結果、A1橋台の外周で海側の2隅では、基礎杭先端付近のN値が「20前後」と、設計時の想定だった「30以上」を大きく下回っていた。また外周4隅の調査結果から、同橋台周辺の支持層の位置は、橋台付近から海側方向に急激に深くなっていることが分かった。合計25本の基礎杭のうち、海側の基礎杭の一部は支持層に達していないと推測できた。

当初設計時および変状発生後に実施したボーリングの位置。図中の赤の点が設計・工事着手前に調査した位置、緑の点が変状を確認した後に調査した位置(資料:国土交通省中部地方整備局)
当初設計時および変状発生後に実施したボーリングの位置。図中の赤の点が設計・工事着手前に調査した位置、緑の点が変状を確認した後に調査した位置(資料:国土交通省中部地方整備局)
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推定支持層のイメージ。赤の線が設計時に推定した支持層、青の線が変状発生後に実施した地質調査の結果で推定した支持層。後者の支持層では、海側の地盤の支持層が急激に下がり、一部の杭が支持層に達していない。国土交通省中部地方整備局の資料に日経コンストラクションが加筆
推定支持層のイメージ。赤の線が設計時に推定した支持層、青の線が変状発生後に実施した地質調査の結果で推定した支持層。後者の支持層では、海側の地盤の支持層が急激に下がり、一部の杭が支持層に達していない。国土交通省中部地方整備局の資料に日経コンストラクションが加筆
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 「基礎杭が支持層に達していなかった箇所では、橋台完成後に施工した盛り土の重みや自重などが加わって、橋台が傾斜、沈下したと考えられる」。積木副所長は、調査結果から推し量った変状発生のメカニズムをこのように説明する。