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 ものづくり大国の日本が今直面している大きな課題が、「技術の伝承」である。それは伝統工芸品を作る職人の世界に限らない。製造業などにおいてベテラン技術者のスキルを新人技術者にどう伝えていくかは、企業にとっても死活問題である。

 しかし、技術の伝承は一筋縄にはいかない。通常は、ベテランが新人の前で技術を実演して見せたりするが、長年培ってきた技術を見るだけで吸収するのは難しい。やはり、実際に新人に動いてもらい、手取り足取りの指導が効果的だが、1人のベテランが教えられる人数には限りがある。

 こんな問題を解決しようとする研究が進められている。東京大学稲見・檜山研究室と慶應義塾大学大学院Embodied Media Projectが共同開発した「Fusion」だ。Fusionは、両眼立体視ができるカメラを搭載したロボットアームを用いて遠隔での共同作業を可能にする研究だ。

「Fusion」
「Fusion」
(出所:科学技術振興機構)
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 Fusionでは、遠隔操作者がVR(Virtual Reality)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)をかぶってロボットアームを操作する。HMDの向きでカメラを動かし、手に持ったコントローラーを動かせば、その位置と動きがロボットアームに反映される。コントローラーのボタンがロボットアームの指の動きに連動しており、コントローラーを握ればロボットアームで物体をつかめる。これにより、遠隔地の人同士が現実世界で共同作業できるようになる。