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日経BP 総合研究所は、林野庁の令和3年度(2021年度)補助事業における中高層・中大規模木造建築物の設計・施工者育成推進のための提案として、木造建築に取り組む実務者に向けて情報を発信している。5階建ての木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」が2021年11月に完成した。1階は鉄筋コンクリート(RC)造、2階から5階が木造の枠組み壁工法となる。モクシオン稲城は「国土交通省 令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。

モクシオン稲城の外観。軒裏などに木材を用いて、木造としての印象をアピールしている(写真:三井ホーム)
モクシオン稲城の外観。軒裏などに木材を用いて、木造としての印象をアピールしている(写真:三井ホーム)
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 モクシオン稲城は、三井ホームが設計・施工を手掛けた5階建て、延べ面積3738.3m2の賃貸マンションだ。1階はRC造、2~5階は木造枠組み壁工法を採用した。三井ホームは自社物件となるモクシオン稲城をモデルケースとし、木造マンションブランドのモクシオンを設計・施工者として土地所有者やデベロッパー、投資家などに提案していく。

 建築基準法では、4階以上の階を共同住宅の用途に使用する場合や、延べ面積が3000m2を超える場合は耐火建築物等にしなくてはならない。柱や梁(はり)など構造部材に必要な耐火性能は、最上階から数えて4以内の階は1時間、5以上で14以内の階は2時間、15以上の階は3時間となる。

 そこでモクシオン稲城では経済合理性の観点から、最上階から数えて4階分は1時間耐火構造による木造とし、残りの階をRC造とするモデルを選択。「モクシオンは、5階建ての場合は1階をRC造、6階建ての場合は1~2階をRC造とするケースが多くなりそうだ」と、三井ホーム施設事業本部事業推進室営業推進グループ長の依田明史氏は説明する。

構造躯体(くたい)の面材パネルは工場で製造。現場の加工手間を減らし、工期の短縮につなげた(写真:三井ホーム)
構造躯体(くたい)の面材パネルは工場で製造。現場の加工手間を減らし、工期の短縮につなげた(写真:三井ホーム)
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 これまで不動産業界では、集合住宅の呼称について、RC造やその他堅固な建物を「マンション」、木造や軽量鉄骨造などを「アパート」と一般的に呼んできた。三井ホームは複数の大手住宅会社とともにプレハブ建築協会を通じて、SUUMOなどの不動産ポータルサイトや首都圏不動産公正取引協議会と協議し、21年12月6日から木造・3階建て以上の一定の要件を満たした集合住宅を「マンション」として登録できるようにした。

 マンションとして登録するには、住宅性能評価書の取得が必須だ。劣化対策等級3を取得したうえで、耐震等級3、耐火等級4、耐火構造のいずれかを満たす必要がある。

 「性能面ではRC造や重量鉄骨造のマンションにひけを取らない。アパートだと、賃料が安い、性能が低いというイメージがあり、土地所有者やデベロッパーも二の足を踏んでしまいがち。木造でもマンションと名乗れるようになったことで、選ばれやすくなったのではないか」(依田氏)