「森林資源を有効活用できる」がトップ
設計・施工者、不動産業従事者、ビジネスパーソンが、「木造」「木質」建築に抱くイメージについて調査した結果を紹介する。
「木造」「木質」建築のポジティブなイメージの項目をすべて選んでもらった。「森林資源を有効活用できる」はいずれの立場でもトップだった。ただ、設計・施工者や不動産業従事者に比べてビジネスパーソンは比較的低く、立場による差が見られた。ビジネスパーソンは「デザインが美しい」や「快適性が得られる」が、「森林資源を有効活用できる」と同程度の値になっている。不動産業従事者は「減価償却資産の耐用年数が短くなる」が設計・施工者よりも19.8ポイント高かった。
さらに設計・施工者を「木造」「木質」建築の今後の提案意向によって区分し、「積極的に提案したい」層と「積極的に提案したいと思わない」層で、抱くイメージにどのような差があるのかを調べた。
提案意向が高いほど、「木造」「木質」建築によりポジティブなイメージを抱いていた。「森林資源を有効活用できる」では35ポイント、「デザインが美しい」では35.7ポイントの差が生じた。「積極的に提案したいと思わない」層に、「木造」「木質」建築の魅力を理解してもらうことが、今後の普及の鍵になると思われる。
「木造」「木質」建築のネガティブなイメージの調査結果も見てみよう。いずれの立場でも「火に弱い」が最も高い結果となった。特にビジネスパーソンで高く、設計・施工者や不動産業従事者とは10ポイント以上の差が生じた。このほか「腐りやすい」「長持ちしない」「壊れやすい」といった項目でもビジネスパーソンが高かった。
設計・施工者では「建設費用が高い」が37.8%となり、不動産業従事者やビジネスパーソンを15ポイント以上上回った。「木造」「木質」建築の普及に向けては、耐火性、強度、耐久性などに優れた木材製品や技術を開発し、低コスト化に向けても取り組むことで、このようなネガティブなイメージを払拭していくことが求められる。