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地域産材の利用に一定の評価

 次に、断熱性の向上に寄与しているか、という点である。一般的に木材は同じく構造材として利用される鉄骨やコンクリートに比べて熱伝導率が低いとされる。建物の環境性能の1つとして建物外周部の断熱性能を高める取り組みを問う中で、「事業者が意図を持って木質材料の利用を通じた断熱性を向上させる取り組みを行っていることが、評価上の1つのポイントになる」(岩⽥⽒)

 3つ目は、長寿命化に向けた維持保全の取り組みを実施しているか、という点。建物の環境性能の1つとしてライフサイクルコスト(LCC)低減に向けた運用段階での取り組みを問う中で、木材利用に伴う維持保全の取り組みを評価に加える。木材はほかの部材に比べて腐朽などの劣化が問題になりやすいだけに、長寿命化に向けた適切な取り組みが欠かせない。その具体的な内容を基に加点する。

 2つ目、3つ目についてはいずれも、どのような取り組みを加点対象にするかについては個別案件での認証を積み重ねながら固めていく方針だ。「加点対象になりうる案件で申請者側に具体的な取り組みを聞き取り、評価担当者側で判断していくことになる見込み」(竹村氏)という。

 4つ目は、地域産材を利用しているか、という点だ。多様性・周辺環境への配慮の1つとして「地域との関わり促進」を問う中で、地域産材の利用を評価に加える。「ここでいう地域とは、サプライチェーンの整備を促すことの重要性から、特定の地域内で完結するよりも国内のある程度広域圏からの調達であること念頭に置いている。むしろ、認証や産地証明など通じ、適切に調達元を確認する体制を整えているかといった点を確認することがより重要であると考えている」(岩田氏)

 最後は、木質材料特有の取り組みを長期修繕計画に反映しているか、という点である。DBJ Green Building認証ではステークホルダーとの協働の1つとして、建物オーナーやアセットマネジャーが向こう15年程度の長期修繕計画を策定し、プロパティーマネジャーやビルディングメンテナンス会社といった日常の運営・管理の担当者と共有していることを評価する。木材利用を念頭に置いた計画内容は、そこで加点する仕組みだ。