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 日経BP 総合研究所 社会インフララボは、林野庁の2019年度補助事業において「CLT を含む低層非住宅と中大規模木造建築物の設計・施工者育成推進のための提案」検討委員会を組織し、木造建築に関心のある実務者に向けて情報を発信している。2019年12月16日、マルオカ埼玉営業所(さいたま市北区)を取材した。地元の工務店が施工した3階建ての木造事務所だ。

 住宅資材の総合商社であるマルオカ(長野市)が2019年5月、さいたま市内の埼玉営業所を木造3階建てに建て替えた。目指すは、3階建て木造事務所のプロトタイプ開発。コストを抑えながら住宅の延長として施工できるように一般流通材を使い、施工は地元の工務店に任せた。新設住宅着工戸数が減る中、3階建て木造事務所という新市場の創出を狙う。

マルオカ埼玉営業所。カーテンウオールや2・3階のサッシ、空調設備などは、機能、外観、コストなどの観点から、非住宅用のものを採用した(写真:浅田 美浩)
マルオカ埼玉営業所。カーテンウオールや2・3階のサッシ、空調設備などは、機能、外観、コストなどの観点から、非住宅用のものを採用した(写真:浅田 美浩)
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建築主であるマルオカプレカット事業本部執行役員の南部智隆氏。元の建物に耐震改修を施そうと見積もりを依頼したところ新築工事と変わらない金額だったことから、建て替えに踏み切ったという(写真:浅田 美浩)
建築主であるマルオカプレカット事業本部執行役員の南部智隆氏。元の建物に耐震改修を施そうと見積もりを依頼したところ新築工事と変わらない金額だったことから、建て替えに踏み切ったという(写真:浅田 美浩)

 マルオカ埼玉営業所は従業員30人規模。普通に考えれば鉄骨造で建て替えるところを、あえて木造にチャレンジした。新しい建物を3階建て木造事務所のプロトタイプと位置付け、同じ3階建て事務所の建て替えで木造の採用を促す狙いだ。

 木材小売りで創業し、プレカット事業にも乗り出す立場上、木造への挑戦は時代の流れでもある。一般流通材を用いて鉄骨造と同等以下のコストで建設できれば、木造の可能性は開ける。工務店が住宅の延長として取り組めれば、新しい市場の創出にもつながる。

 マルオカプレカット事業本部執行役員の南部智隆氏は「新設住宅着工戸数が減っていく中、この程度の規模の事務所の木造化を普及させていきたい。これだけの空間を木造住宅と同じ一般流通材でつくれることを見てほしい」と訴える。

 国道沿いに立つ営業所の外観は、ぱっと見は鉄骨造と変わりない3階建て。事務所として、木造らしさの表現は最小限にとどめた。ただ、道路沿いのカーテンウオール越しに集成材の梁(はり)やCLT(直交集成板)の耐力壁が姿をのぞかせている。玄関ドア脇の外壁も一部、板張りで仕上げた。

2階事務所。1階同様、4550mmグリッドに150mm角の柱を配置しているため所々に柱が見える(写真:浅田 美浩)
2階事務所。1階同様、4550mmグリッドに150mm角の柱を配置しているため所々に柱が見える(写真:浅田 美浩)
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 玄関ドアを入ると、1階と2階は事務所。150mm角の柱が4550mmグリッドで配置される。3階は広々とした会議室。長野県産カラマツの集成材で山形トラスを組み上げ、9100mmのスパンを確保した。階段室の壁面にはカーテンウオール越しに見えていたCLT。3階会議室と並び木造らしさを象徴する空間だ。

藤田木造構法計画代表の藤田譲氏。中大規模木造プレカット技術協会(PWA)では監事を務める(写真:浅田 美浩)
藤田木造構法計画代表の藤田譲氏。中大規模木造プレカット技術協会(PWA)では監事を務める(写真:浅田 美浩)

 意匠設計と構造設計を任されたのは、藤田木造構法計画代表の藤田譲氏だ。低層系中大規模建築物の木造化を支援する中大規模木造プレカット技術協会(PWA)では、南部氏が理事を、藤田氏が監事を務めるという旧知の間柄である。

 マルオカ側が要望したのは、大空間を備えた木造建築のランドマークになる耐震等級3相当の事務所。コスト条件を踏まえながら検討を進める中で、在来軸組工法を採用し、1階と2階には柱を立て、3階に大空間を確保する方向性を固めた。

 検討当初は、住宅資材の総合商社としてCLTをどう扱うかを探っていく狙いから、CLTパネル工法の採用も視野に入れていた。しかしコストがかさむなどの理由から、結果的には在来軸組工法に耐力壁として組み合わせるにとどめた。