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 日経BP 総合研究所 社会インフララボ、日経アーキテクチュア、日経ホームビルダー、日経不動産マーケット情報が2020年12月17日に開催した「木材活用フォーラム2020」の概要を紹介する。日本における中大規模木造の課題とは何か。日本の大規模木造の伝統、LVLやCLTを用いた自らの建築プロジェクトや海外の先進事例を通して、木造建築普及の意義を探る。

山代 悟 氏
山代 悟 氏
芝浦工業大学 建築学部 教授、ビルディングランドスケープ 共同主宰 

 日本は先進国の中でも有数の森林国で、国土の森林率は67%、大都市の東京都でも36%の高い森林率を誇っている。しかし、明治末期には、近代産業の発展に伴い山林の伐採が進み、人里近くには無立木の荒廃した山が多かった。森林荒廃は麓に多くの災害を引き起こし、大正時代には森林再生の機運が高まって、荒廃地への植林が進む。その結果、森林は回復し、日本の山には豊富な森林資源が育っている。

 この話はハッピーエンドではなく、その後も日本の山はたくさんの課題を抱えてきた。せっかく育った森林資源がうまく活用されなかったのだ。

 日本は地震国であり、関東大震災は木造建築などの火災で10万人が亡くなった。大戦の大空襲で街が焼失した経験もあり、木造は火災に弱い印象を残した。さらに1959年の伊勢湾台風で木造建築は強風被害を受けた。日本建築学会は甚大な被害を鑑みて、安全な都市を築くために、一定以上の規模の建築に木造禁止の提起も行われた。

 そこから、多くの技術者、建築家の尽力で木造建築の再評価が行われ、2010年になって「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されるに至った。