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分からないことは職人に聞く

:現場の職人にはいろいろ聞いたほうがいいですね。設計しているときに分からないことがあれば、現場の帰りに事務所に寄ってくれないかと職人にお願いしています。「こんな納まりを考えているけれど大丈夫か」と聞き、まずければ改善策を提案してもらいます。

 中でも高知の板金職人はレベルが高いです。木については板金職人によく教わりました。

鈴江:木の1枚上が屋根ですからね。私も板金職人に相談することが多いです。

喜多:問題になることが多いのは、断面図の雨押さえのディテールには出てこないところですね。実際の現場では3次元なので、2次元の図面で描ききれない部位にリスクがあったりします。先ほども言った通り、高知は高温多雨の地域なので、板金職人のスキルも雨の少ない地域に比べたら高いです。

:高知県は、木材活用のために、全国的に活躍している木造の研究者や専門家を引っ張ってきてくれます。そういう人たちと接触する機会が結構あります。人口が70万人程度しかいない高知県ですが、木造建築の専門家に気軽に相談できる環境は整っています。

喜多:分からないことを「聞く」ことは一つの方法ですね。どんな地域の若い設計者であっても、板金職人の1人や2人は知っているはずです。独断ではなく、専門家に聞くことは大切です。

鈴江:職人はその分野では、自分よりも経験値がずっと高い専門家だと思っています。相談して学ぶことは多いですね。

:照明にしても、空調にしても、何にしても専門家は、設計者よりもはるかに専門分野の知識を持っています。結局、私たちは設計者として、そういう人たちをコーディネートしてうまく融合させていく必要があるのです。

小原:チームをまとめあげるのが設計者の仕事ということですね。

:木造の仕事では、現場が重要になります。設計図を描いて終わりではなく、やはり現場に行くべきでしょう。

小原:それは工事監理のことですか。

:監理もそうですが、設計者として勉強になるからです。

喜多:出来上がったものを見るだけでなく、実際にくぎを打っている瞬間、板金を巻き込んでいる瞬間を見ることが大事だと思います。

:そうでないと、恐らく頭に残りません。現場を撮った工事写真を渡されても身にならない。

小原:みなさんの話をまとめると、木造建築に取り組むうえで気を付けるべき4つのポイントが見えてきました。

  • (1)経験やトラブルの情報は抱え込まず、共有する
  • (2)木造の住宅にきちんと取り組んだうえで、非住宅にチャレンジする
  • (3)現場の職人や知識のある専門家に話を聞く
  • (4)現場で施工の状況を確認する

 喜多さん、東さん、鈴江さん、とても興味深い議論をありがとうございました。

建築舎KIT代表の喜多泰之氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
建築舎KIT代表の喜多泰之氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
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建築設計群 無垢の東哲也氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
建築設計群 無垢の東哲也氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
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鈴江章宏建築設計事務所代表の鈴江章宏氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
鈴江章宏建築設計事務所代表の鈴江章宏氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
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