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 日経BP 総合研究所は、林野庁の令和4年度(2022年度)補助事業における中高層・中大規模木造建築物の設計・施工者育成推進のための提案として、木造建築に取り組む実務者に向けて情報を発信している。建築主の団体ともいえる一般社団法人不動産協会では、中高層建築物における今後の木材利用をどうみるのか。不動産協会事務局長代理の田村好史氏に聞いた。

一般社団法人不動産協会事務局長代理の田村好史氏(写真:不動産協会)
一般社団法人不動産協会事務局長代理の田村好史氏(写真:不動産協会)

不動産協会の会員は大手をはじめとする不動産会社157社で構成しています。建築物の木造化・木質化に対する各社の意識をどうご覧になりますか。

 企業のESG(環境・社会・企業統治)評価に対する関心の高まりや、木材の特徴の1つでもある二酸化炭素(CO2)の吸収・固定に伴う脱炭素効果、企業の社会的責任(CSR)などの観点から、中高層建築物における木材利用は徐々に進んでいるとみています。

 ただ、不動産事業者にとって中高層建築物における木材利用は新しい分野です。それだけに、取り組みにはまだバラツキがみられます。リスクコントロールを利かせながら事業化を進めるには、工事費などの初期コストの低減と安定化、実績に基づくランニングコスト情報の一般化など、予見可能性のさらなる向上が必要です。