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火事でどう燃えるかについて知る

小原:木材を見せながら、火事に負けない木造建築物を設計するヒントはありますか。

安井:木造の火事の特性について知識を持つことは重要です。消防庁の統計によると、建物の火災発生件数は、木造が約55%、非木造が約45%となっています。火災発生件数で見ると、木造が特に多いというわけではありません。

 ただし、ニュースなどの報道においては、木造が95%、非木造が5%のような印象を受けます。どうしてかというと、木造は火災によって壁や床が抜けて燃え広がり、火災の規模が大きくなりがちだからです。RC造などの非木造では、火災の規模はあまり大きくなりません。準耐火や耐火は、木造でも壁や床が抜けないようにつくるという考え方に基づいています。

火元建物の構造別損害状況(資料:京都府木材組合連合会「京都の木で木造建築物を建てるための・・・ニホヘト」)
火元建物の構造別損害状況(資料:京都府木材組合連合会「京都の木で木造建築物を建てるための・・・ニホヘト」)
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 火事には2種類あります。自分が出す火災「内部火災」と、隣からのもらい火による「隣家火災」です。後者では、例えば16年の糸魚川市大規模火災の場合は、出火元の飲食店からのもらい火で146棟が焼失しました。もらい火ということは、建物の外周から燃え抜けたわけです。

 建築基準法では、隣家からの延焼のおそれがある部分については、外壁や軒裏を防火構造や準耐火構造とすることが求められています。30分間燃え抜けないようにするのが「防火構造」。45分間、1時間燃え抜けないようするのが「準耐火構造」。1時間以上ずっと燃え抜けないようにするのが「耐火構造」です。

 一方、建物内から出火する際には、火災の初期段階では「出火防止」「早期発見」「初期消火」が重要になります。火災初期の対応ができれば、火が大きく燃え広がらないうちに避難や消火ができます。そこで、区画化という考え方があります。出火可能性の高い場所を小さめに区画しておけば、燃え広がるのを遅らせることができます。

火災フェーズごとの対策すべき項目(資料:京都府木材組合連合会「京都の木で木造建築物を建てるための・・・ニホヘト」)
火災フェーズごとの対策すべき項目(資料:京都府木材組合連合会「京都の木で木造建築物を建てるための・・・ニホヘト」)
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