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都市部の納税者に分かりやすい

 「都市木造を考える会」は森林環境譲与税の使途として、都市部の中大規模木造建築に活用することを提言した。そのメリットは4つある。

 第1に、都市部の納税者に分かりやすいこと。

 第2に、CO2排出量が多い都市部に木造建築をつくることで炭素固定効果を感じられること。

 第3に、民間企業の知恵を活用して地域ごとに異なるニーズとマッチングしやすくなること。

 最後に、民間事業者がランニングコストを負担するので自治体の負担が減ることだ。

 実際に中大規模木造にはどのくらいの費用がかかるのか。国土交通省の18年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されて三菱地所がプロジェクトを進めているオフィスビル「(仮称)岩本町3丁目プロジェクト」で試算した。

 木造と鉄骨造のハイブリッド構造で、木造が過半を占める。敷地面積約145m2、延べ床面積約756m2の地上8階建てのペンシルビルだ。ワンフロアの面積は80m2程度で、事務スペースにCLT(直交集成板)の床板を張る。

 通常の鉄筋コンクリート(RC)床を張る鉄骨造と比較すると、工期はどちらも10カ月程度だが、乾式工法のCLT床の方が2週間ほど短くなる。鉄骨造の工事費は総額で約2億4500万円。RC床の単価は1m2当たり約1万円で、これをCLT床にすると約3500万円の増額となる。

 CLT床の単価は1m2当たり約4万円なので約1500万円。増額分の約3500万円のうち、残りの約2000万円は耐火被覆のコストだ。

 これらの増額分を森林環境譲与税でカバーしようとしても、多くの自治体は単独または単年度ではとても足りない。

 そこで「都市木造を考える会」は、森林環境譲与税を活用して都市部で中大規模木造を実現する方法を「ためる」「たばねる」「つなぐ」「あわせる」「あたえる」の5つの提言にまとめた。