全2602文字
PR

5つの提言

 提言1は、単純に「ためる」。森林環境譲与税が貯蓄可能という特性を利用して、複数年度をまたぐことでカバーする。課題として、何を目的にためるか、途中で目的が変わらないか、などが想定される。

森林環境譲与税の特徴的な仕組みの一つである貯蓄可能な点を活用し、単年度では補助として少額な予算を「ためる」ことで有効な規模にして活用する(資料:都市木造を考える会)
森林環境譲与税の特徴的な仕組みの一つである貯蓄可能な点を活用し、単年度では補助として少額な予算を「ためる」ことで有効な規模にして活用する(資料:都市木造を考える会)
[画像のクリックで拡大表示]

 提言2は、エリアをまとめて「たばねる」という発想だ。同一県内、同一経済域などのエリアでまとまることで金額を増やして活用する。課題は、複数の市区町村にまたがるので、どのように公平に配分するか、など。

「たばねる」のイメージ。一つ一つの市区町村単位では少額な予算を、複数の市区町村を「たばねる」ことで有効な規模にして活用する(資料:都市木造を考える会)
「たばねる」のイメージ。一つ一つの市区町村単位では少額な予算を、複数の市区町村を「たばねる」ことで有効な規模にして活用する(資料:都市木造を考える会)
[画像のクリックで拡大表示]

 提言3は「つなぐ」。都市部の自治体と森林が多い自治体がつながり、都市部の木造建築への補助を、木材を買うことを条件に森林自治体が産業育成の目的で支援する。課題は双方に納得感のある配分ができるか、どこの自治体とつながるか、など。

「つなぐ」のイメージ。人口配分のみの都市部市区町村と、森林保有面積や林業従事者の多い地方市区町村とを「つなぐ」ことで、両者にとって有効な活用をする(資料:都市木造を考える会)
「つなぐ」のイメージ。人口配分のみの都市部市区町村と、森林保有面積や林業従事者の多い地方市区町村とを「つなぐ」ことで、両者にとって有効な活用をする(資料:都市木造を考える会)
[画像のクリックで拡大表示]

 提言4は「あわせる」。公共用地を活用したり公共施設を建築したりする提案者に対し、木材利用にプラスアルファの評価をしてメリットを得られるようにする。どのような資産や公共用地を対象とするか、どのような付加評価を与えられるかが課題だ。

「あわせる」のイメージ。公共用地を活用したり公共施設を建築したりする際、木材利用などの提案があった場合に付加要素として「あわせる」ことで、少額の予算を有効な規模にして活用する(資料:都市木造を考える会)
「あわせる」のイメージ。公共用地を活用したり公共施設を建築したりする際、木材利用などの提案があった場合に付加要素として「あわせる」ことで、少額の予算を有効な規模にして活用する(資料:都市木造を考える会)
[画像のクリックで拡大表示]

 最後の提言5は「あたえる」。少額の補助金を直接充てるのではなく、企業価値を向上させる「ポイント」に代えて付与する。最近ではESG(環境・社会・企業統治)投資やSDGsなど持続可能な社会の実現に向けた企業の取り組みが、企業価値に転換する時代が来ている。ただ現時点では、木材利用を評価する仕組みが確立されておらず、海外投資家などから評価を得られにくい。国際的な基準やレーティング制度などの国内での一般化が課題となる。

「あたえる」のイメージ。少額の予算を直接補助に充てるのではなく、企業価値の向上につながるポイントを「あたえる」ことで有効に活用する(資料:都市木造を考える会)
「あたえる」のイメージ。少額の予算を直接補助に充てるのではなく、企業価値の向上につながるポイントを「あたえる」ことで有効に活用する(資料:都市木造を考える会)
[画像のクリックで拡大表示]
「都市木造を考える会」のメンバー。写真左から、三菱地所住宅業務企画部兼新事業創造部主事の柳瀬拓也氏、三菱地所住宅業務企画部CLTユニット主事の海老澤渉氏、三井住友信託銀行地域共創推進部審議役の田中健次氏、竹中工務店木造・木質建築推進本部副部長の小林道和氏、日経BP社日経BP総研社会インフララボ上席研究員の小原隆(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
「都市木造を考える会」のメンバー。写真左から、三菱地所住宅業務企画部兼新事業創造部主事の柳瀬拓也氏、三菱地所住宅業務企画部CLTユニット主事の海老澤渉氏、三井住友信託銀行地域共創推進部審議役の田中健次氏、竹中工務店木造・木質建築推進本部副部長の小林道和氏、日経BP社日経BP総研社会インフララボ上席研究員の小原隆(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
[画像のクリックで拡大表示]