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 森林の樹木は、成長の過程で光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵する。その樹木からつくられる木材は燃やさない限り、炭素を貯蔵し続ける。木材を建物などに利用すれば、炭素を長期間貯蔵できることになる。

 林野庁は10月1日、「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」を公表した。このガイドラインは、木造建築に利用した木材の炭素貯蔵量を計算し、国民や企業にとって分かりやすく表示する方法を示したものだ。日本は2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガスの実質排出ゼロ)の達成を目指している。このガイドラインには建築物における木材の利用を進め、炭素貯蔵効果を高める狙いがある。

 ガイドラインでは、建築物の所有者、建築物を建築する事業者などが「HWP」に関する考え方を踏まえて、建築物に利用した木材における炭素貯蔵量を表示する場合の標準的な計算方法と表示方法を示した。HWP(Harvested Wood Products)は伐採木材製品の意味。京都議定書は第2約束期間以降、森林経営活動を通じて生産された国産材由来のHWPの炭素貯蔵量の変化を温室効果ガス吸収量または排出量として計上できるルールを定めており、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」でも踏襲している。

 対象となるのは、すでに完成した状態の建築物だ。使用した木材の算定に必要な情報が全て入手できれば、新築、既築を問わない。ただし、仮設建築物やコンクリート型枠用合板などは一時的な使用であり、完成前に撤去されるため、長期間の炭素の貯蔵が期待されないことから対象とはしていない。

 「建築物に利用した木材」としては、構造のほか、内装や外装なども含まれる。一方、外構や地盤改良用資材など、建物と一体になっていない木材は含まない。事業者や所有者が木材利用をアピールするため、これらの炭素貯蔵量を示したい場合には、建築物に利用した木材の炭素貯蔵量とは別に計算・表示するということになる。

 建築物に利用した木材(集成材、合板、木質ボードなどを含む)の炭素貯蔵量(Cs)の計算は、W(建築物に利用した木材の量、m3)、D(木材の密度、t/m3)、Cf(木材の炭素含有率)、44/12(二酸化炭素量に換算するための係数)を乗じて算出する。

 計算式:Cs= W × D × Cf × 44/12

 計算に当たっては、樹種別または建築用資材別に、それぞれの区分に応じた木材の密度などの値を用いて算定した値を合計し、建物全体の炭素貯蔵量とする。製材については樹種別に算出し、樹種別の密度が不明である場合や樹種別の計算が困難である場合は、国内で最も多く用いられるスギの値を使用することができる。

 合板や木質ボードは製材と密度が異なるため、ガイドラインに数値を例示。集成材やCLT(直交集成板)は製材、LVL(単板積層材)は合板、とそれぞれ同様の値を用いることとした。建築物に利用した木材の量のうち、国産材の量を求めようとする場合において、国産材と外国産材が含まれる集成材や合板などについては国産材比率を樹種別に把握して算出する。