2022年11月、輸入材に頼りがちだった枠組壁工法で国産材を活用しようと、建築・製材事業者が協議会を立ち上げた。協議会の名称は「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」。発足人は、協和木材(東京都江東区)、三井ホーム(東京都新宿区)、三菱地所住宅加工センター(千葉市)など、サプライチェーン(供給網)の「川中」にあたる製材事業者、「川下」にあたる建築事業者、計8社・1団体。会員は2022年12月時点で、正会員と賛助会員合わせて34社・3団体に上る。
設立の目的は、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)で国産材の活用を推進していくこと。それを通じて、二酸化炭素(CO2)の排出を抑制し、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現に寄与するとともに、ツーバイフォー工法向け国産材の持続可能な供給網を地域ごとに構築し、林業の成長産業化を図りながら地方創生にも貢献していく。
全国組織の強みを生かし、供給網は全国くまなく構築していく予定だ。三井ホーム資材部長兼国産材推進グループ長で協議会事務局長を務める林哲也氏は「地域ごとに供給網を構築できれば、災害時には相互補完が可能になる」と、将来を見据える。
活動の基本は、建築事業者側でツーバイフォー建築の用途をこれまで以上に広げ、長期・安定の需要を創出する一方、製材事業者側にツーバイフォー工法向け国産材の供給を念頭に置いた設備投資を促すことなど。そうした川下と川中の連携を図ることで、供給網の「川上」にあたる森林所有者側に再造林可能な資金を還元できる持続可能な供給網を構築し、森林の多面的な機能の保持や国土の保全を図る。
設立段階は川中と川下の事業者で会員を構成しているが、今後、活動を進める中で川上事業者の参画を呼び掛け、森林所有者側とも連携を図っていく方針だ。「三井ホームではウッドショック前の実績で国産材の利用率は10%程度。それをまずは、30~40%程度にまで高めていきたい」と、林氏は自社の目標を明かす。
協議会設立の背景にあるのは、世界的な木材価格の高騰「ウッドショック」だ。
木造住宅の分野で在来軸組工法と並び称されるツーバイフォー工法は北米生まれの輸入工法。国内では1974年7月、当時の建設省が技術基準を告示し、誰もが利用できるようにオープン化された。以降、戸建て住宅や賃貸アパートを中心に実績を重ねている。
その部材は輸入材が中心に担ってきた。国内の森林は太平洋戦争から戦後にかけて、軍需物資や復興資材として大量に伐採され、国内需要を賄いきれず、1955年頃から木材の輸入自由化が段階的に始まったからだ。農林水産省「木材統計調査」によれば、オープン化当時、製材・合板用では輸入材の割合がすでに3分の2以上に達していた。