第1回から第3回までの連載で、製造業における技術者力の特徴と強化に向けた取り組みの事例をみてきました。第4回となる今回は、近年当社への引き合いが多くなってきた戦略的に人材育成を行うための仕組みづくりについて、事例を交えて紹介していきます。
現在の開発現場では自然に任せても技術者は成長しづらい
人材育成の手段として、職場でのOJT(実地訓練)や研修などのOff-JT(職場外研修)は多くの企業で行われています。しかし昨今の開発現場は、無計画な育成手段では技術者が成長しづらい環境になっています。
例えば、一昔前の「背中を見せて学ばせる」といった現場任せの悠長な育成は、現在では通用しません。また、技術者1人ひとりの強み・弱みや業務での必要性を把握しない状態での研修は効果が半減してしまいます。
技術者力の向上を最大限に加速させるOJTとOff-JTの実践には、技術者自身が自己育成の計画を立案したり、OJTだけでは成長しづらい部分を補う教育体系を整えたりするなど、人材育成の仕組みを構築することがポイントです。
3つの観点からなる人材育成の仕組み
人材育成の仕組みとは、以下の3つから成り立ちます。
(1)個人が成長ステップを考え、成長を自覚しながら業務に取り組める仕組み(個人の観点)
(2)人材育成に関する組織課題を見える化し、育成強化策を立案する基盤となる仕組み(組織の観点)
(3)個人の成長意志と、組織課題の解決を両立させる仕組み(個人+組織の観点)
今回は、(1)について、事例を交えて仕組み構築時の留意点を説明します。(2)と(3)については次回に解説します。