稼働率を上げられるのであれば、自動運転車のメーカーは問わない――。

 MaaSオペレーター(運営者)を目指すIT系新興企業幹部はきっぱりと言う。MaaS運営者から見ると、トヨタ自動車が開発する自動運転車は数ある選択肢の一つに過ぎない(図1)。厳しい現実が待ち受ける中、トヨタは2020年頃から本格化すると見据える“自動運転商戦”に対する備えを急いで進めている。

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図1 MaaS運営者はどの自動運転車を選ぶのか
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図1 MaaS運営者はどの自動運転車を選ぶのか
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図1 MaaS運営者はどの自動運転車を選ぶのか
(a)ウェイモとクライスラーの車両、(b)ウェイモとジャガーの車両、(c)GMクルーズの車両、(d)トヨタの「イーパレット」。(写真:a、bはウェイモ、cはGMクルーズ、dはトヨタ)

 MaaS運営者が自動運転の“商用車”に期待することは、安全に目的地まで走れるのを前提にすれば、故障しにくく維持管理費が低いことである。故障したり維持管理に時間がかかったりすると、車両の稼働率が下がる。その分、MaaS運営者の利益が吹き飛ぶ。

 “商用車”の故障する頻度は自家用車(マイカー)に比べて高い。年間走行距離が、マイカーに比べて圧倒的に長いためである。日本では約6倍に達する。

 故障しにくい車両の開発は、トヨタが最も得意とすることだ。トヨタ車の耐久品質はかねて高い。米調査会社JDパワー(J.D.Power)による2018年北米自動車耐久品質調査(VDS)で、トヨタのレクサス車は7年連続で首位だった。トヨタが自動運転車でレクサスと同等の耐久品質を維持できれば、MaaS運営者にとって魅力的に映るはずである。

 一方で、最大の競合と見据えるグーグル系ウェイモ(Waymo)。米クライスラー(Chrysler)や英ジャガー(‎Jaguar)の車両を使うが、同じ調査でクライスラー車は最下位、ジャガー車は平均を下回る。

 トヨタは、自動運転車の維持管理費を抑える仕組み作りにも着手する。2018年6月、車載通信機(DCM)を全車に標準搭載したコネクテッドカーとして「クラウン」と「カローラスポーツ」を発売した。通信サービスの主軸として打ち出すのが、遠隔で車両状態を診断する機能である(図2)。

図2 車両の遠隔診断機能を投入
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図2 車両の遠隔診断機能を投入
車両情報をトヨタのデータセンターに収集し、異常を検知すると運転車に知らせる。コールセンターに連絡することもできる。トヨタの資料を基に編集部で作成した。

 走行データをトヨタのサーバーに収集し、異常をいち早く検知する。故障前に対処することで、車両の稼働率を高めることにつながる。MaaS運営者による自動運転車の管理システムに役立つ。