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 この集中連載では組織はなぜ失敗に学ばないのか、状況を打開するために何をすべきかを失敗学の成果を基にお伝えしている。第1回は日本の企業や組織はなぜ「失敗の原因究明=犯人捜し」と捉えてしまうのか、第2回はIT業界がプロジェクトの「失敗」につながる根本的な問題をなぜ解決していないのかを取り上げた。

 今回は対策編である。前回少し紹介した「ITプロジェクト版 成功曼荼羅(以下、成功曼荼羅図)」を利用して、真の失敗原因を究明していく手順をお伝えする。

 成功曼荼羅図は失敗の真の原因を究明するためのツールだ。使用した企業は「失敗原因の根幹はこんなに単純だったのか」と驚きの声を上げるとともに、「失敗の振り返りをしたメンバーの腹に初めて落ちた」と筆者に報告している。ツールを使って失敗の原因を探り当てたメンバーは、次のプロジェクトで同じ失敗を繰り返していないという実績もある。

 成功曼荼羅図で真の失敗原因を究明していく作業を通じて、失敗事例の公開と蓄積を重ねていけば、失敗を繰り返すことなく、組織も社員も生き生きと活動できる企業文化を育んでいけると筆者は確信している。

ITプロジェクトにおける失敗の原因を一覧可能に

 まず成功曼荼羅図は何を表しているのかを説明する。

図 ITプロジェクト版 成功曼荼羅図
図 ITプロジェクト版 成功曼荼羅図
出所:全国IBMユーザー研究会連合会。本成果物内容の無断転載・転記を禁止します。
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 筆者が所属する失敗学会は、失敗の原因を構成する要素を分類して関連を階層ごとに図示した「失敗まんだら」を提唱している。仏教で悟りの世界や仏の教えを示した図絵である曼陀羅にヒントを得て、失敗原因に関わる全ての要素や関連、位置づけを一覧できるようにしたものである。

 成功曼荼羅図は失敗まんだらを基に、ITプロジェクトにおける失敗の原因を構成する要素を関連と共に一覧できるようにしている。全体を大きく(1)個人に関わる原因、(2)プロジェクトに関わる原因、(3)組織に関わる原因、(4)未知の原因の4種類に分けている。図では(1)が左上、(2)が右上、(3)が下、(4)が左下の領域に位置している。

 そのうえで失敗の原因を2つのレベルで表している。第1レベルとして、以下の10項目を挙げている。

<個人>

  • 無知:世の中に知られている解決法を本人が知らない
  • 不注意:十分配慮していれば防げる注意を怠る
  • 誤判断:状況を正しく捉えられない、または思い違いなどで判断を誤る
  • 手順の不順守:約束事や習慣・規則を守らない
<プロジェクト>
  • 企画・計画不良:企画や計画そのものに問題がある
  • 調査・検討不足:決定に至るまでの検討が不十分
  • プロジェクト運営不良:プロジェクト運営の体制や手順がきちんと物事を進められる形になっていない
<組織>
  • 環境変化への対応不良:当初想定した条件が変化しているのに対応が不十分
  • 価値観不良:価値観が周りと食い違っている
<未知>
  • 未知:誰も知らない事象が発生