世の中の予測は間違いだらけ──。100年、いや130年に1度の変革期を迎えたと言われる自動車業界。その行方を知りたがる人が多い中、自動車業界の将来予測は花盛りだ。ところが、「なぜ、そんな予測になるのか、根拠が薄いものが実に多い」と指摘するのが、元トヨタ自動車の技術者で愛知工業大学工学部客員教授の藤村俊夫氏である。トヨタ自動車で31年間にわたり、新エンジンの研究開発や自動車の走行・環境・安全などに関する研究開発に従事し、自動車を知り尽くす同氏が、技術的な視点で冷静に自動車の将来動向を徹底調査。その結果を語り尽くす。

藤村俊夫(ふじむら としお)
愛知工業大学工学部客員教授(工学博士)、元トヨタ自動車、PwC Japan自動車セクター顧問をはじめ数社の顧問を兼任。
藤村俊夫(ふじむら としお) 1980年に岡山大学大学院工学研究科修士課程動力工学専攻修了、同年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入社。入社以来31年間、本社技術部にてエンジンの設計開発に従事。専門はエンジンの機能部品設計(噴射システム、触媒システムなど)と制御技術、および各種性能改良。2004年に基幹職一級(部長職)となり、将来エンジンの技術シナリオ策定などに従事。2011年4月より愛知工業大学に出向、機械学科教授として、熱力学や内燃機関工学、エネルギー変換工学、機械設計工学を担当。2018年4月より客員教授。自動車技術会 代議員・論文校閲委員、機械学会会員。「ディーゼル車用新触媒システムDPNR」で日経BP賞技術賞エコロジー部門賞(2001年)、「ディーゼルPM, NOx同時低減触媒システム(DPNR)」で日本機械学会賞技術賞(2003年)。(写真:都築雅人)