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 宇宙分野にセンサーなどを1950年代の創業当初から提供している老舗メーカーの日本航空電子工業は、新たに宇宙事業に参入したベンチャー企業への営業活動を始めるなど、民需の取り込みを進めている(図1)。「1~2年前から衛星ベンチャーに向けて営業活動を始めた」(同社 航機事業部 事業部長代理の森元誠一氏)という(図2)。ベンチャー企業を中心に衛星データを活用する機運が高まり、衛星向けの部品の需要が長期的には高まると見るからだ。

図1 科学衛星用の姿勢基準装置(左)と宇宙用のジャイロセンサー
図1 科学衛星用の姿勢基準装置(左)と宇宙用のジャイロセンサー
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図2 日本航空電子工業 航機事業部 事業部長代理の森元誠一氏
図2 日本航空電子工業 航機事業部 事業部長代理の森元誠一氏
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 ただし、多くのベンチャー企業が考える価格と、同社の考える価格には現時点では大きな開きがあることが分かった。直近の売り上げにはつながっていない。「同じ“機能”を持つ製品は数万円で提供できる。しかしJAXAやロケットメーカーに納めていた製品と同等の品質を求められるとどうしても数千万円になってしまう」(同氏)。

 ロケットに要求される品質は米軍の調達物資用規格(Military Standard:MIL規格)よりも高い。作った工場やその機械、生産工程だけではなく、ロット単位で品質を保証する必要がある。例えば10個の製品を顧客に提供する場合、同じロットで20個を作り、残りの10個は試験に使っている。さらに信頼性を高めるため、センサーに同じ機能を複数持たせる2重系や3重系、最大6重系が求められる場合がある。

 このような高品質・高信頼性を追求しないなら、価格は1/10~1/100に下げられる。この場合、ロケットメーカー側が安全性や信頼性を担保する仕組みを盛り込むとともに、責任も負う必要が出てくる。

 同社は現在、100個以上の同時発注があれば価格は下げられるという。ただし品質をほどほどに抑えた低価格品を販売する考えは今のところはない。