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 2018年9月施行の改正建築基準法では、容積率の他にも、規制緩和される内容が目白押しだ。

 外壁や軒裏の延焼対策、異種用途区画などの防火規定の緩和、日影規制の適用除外に関する手続きの見直し、2020年東京五輪・パラリンピックを見据えた仮設興行場の存続期間の延長といった内容が盛り込まれている。

 一方、規制強化される項目もある。大規模重層長屋を想定して、接道規制を条例で付加できる建築物の対象範囲が広げられた。建築基準関連法令だけでなく、自治体の定める条例にも注意が必要だ。

外壁や軒裏の延焼対策を緩和、異種用途区画も

 建基法改正に伴い、法24条の廃止など、防火関連規制が見直された。

 屋根不燃区域において、法23条では木造建築物などを準防火構造とすることを義務付けている。改正前の法24条では、木造建築物などである特殊建築物について、外壁や軒裏で延焼の恐れがある部分の防火構造化を義務付けていた。

用途 規模
学校、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、マーケット、公衆浴場 延べ面積1000m2以下
自動車倉庫 延べ面積50m2超1000m2以下
百貨店、共同住宅、寄宿舎、病院、倉庫 階数2かつ延べ面積200m2超1000m2以下
廃止となった法24条では、図に示した木造建築物においては、屋根不燃区域で外壁・軒裏で延焼のおそれのある部分について防火構造とすることを定めていた(資料:国土交通省)

 法24条が定められた1961年当時と比べ、消防力が向上したことで準防火構造であれば、延焼を抑制できると判断し、今回、廃止に至った。

 法24条の廃止に伴い、小規模な特殊建築物の異種用途区画に関する規制(改正前の建築基準法施行令112条12項)も廃止された。2階以下で小規模な特殊建築物の中に異なる用途があっても、その用途の境界を区画する必要がなくなる。規制緩和によって、建築主の負担軽減を図る。

法24条の廃止に伴って、改正前の令112条12項も廃止された。小規模の特殊建築物の中に異なる用途があっても区画する必要がなくなった(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
法24条の廃止に伴って、改正前の令112条12項も廃止された。小規模の特殊建築物の中に異なる用途があっても区画する必要がなくなった(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 これまでは、1つの建物に異なる用途がある場合、延焼や煙の拡大を防ぐために、準耐火構造の壁や防火戸の設置が必要だった。国土交通省は近年の技術的知見を踏まえ、2階建て以下の小規模建築物では火災発生時に在館者が安全に避難することができると確認できたため、規制緩和に踏み切った。

 3階以上に倉庫があり、床面積が200m2を超える場合などは、改正前の令112条13項(改正後の112条12項)の対象となるため、引き続き異種用途区画が必要だ。