流動化が進んでいないと指摘される建設産業。業界内で転職したい場合、どのような選択肢があるのだろうか。第5回は、建設、不動産業界専門の人材紹介会社オズペックの瀧嶋誠司社長に、建設業界でも特に建築分野での転職状況を聞いた。(聞き手は、森下 慎一=日経 xTECH)

建築分野内での転職について状況を教えてください。

 建築分野では、建設会社の現場で施工管理を担当している人が、設計事務所への転職を目指すケースが多いですね。ただし、大手の組織設計事務所の意匠設計職は買い手市場で、求職者側にとってハードルは低くありません。

 というのは、アトリエ系の設計事務所からの転職希望者も多く、競争率が高いからです。設計志向の強い人は新卒でアトリエ系の設計事務所へ就職することが多いのですが、労働条件の過酷さから大手の組織設計事務所へ移って設計業務を続けたいと考える人が少なくないのです。

そうした激戦を勝ち抜いて選ばれるには、どうしたらよいのでしょうか。

 有利となる条件が幾つかあります。1つは、年齢がある程度若く、しかも一定の経験を積んでいること。特にアトリエ系にいたのならば、医療福祉系や生産施設など専門性の必要な施設の設計経験があると強みになります。

 そしてもう1つは、マネジメント力が高いこと。どんな仕事でもそうですが、プロジェクトの段取りがきちんとできる能力は必須といえます。組織事務所では、コミュニケーション力や協調性も重視されます。

建築分野の人が、土木分野へ転身するケースもあるのでしょうか。

 ご存じのように、建築と土木では主任技術者となれる資格が全く異なりますから、流動は少ないですね。

 ただ、求人が全くないわけではありません。例えば、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)や都市計画に伴って、建築物の設計業務が発生することがあるので、建設コンサルタント会社にも建築部門があります。水道施設の上屋の設計などにも、一級建築士資格が必要です。

 また、発注側のプロジェクトマネジャーなら、必ずしも資格を持っていなくても構いませんから、専門分野にかかわらずに採用される可能性もあります。建築系の転職希望者は、こうした方面に目を向けてみることも一案かもしれません。

瀧嶋 誠司
オズペック代表取締役&CEO
瀧嶋 誠司 仙台市出身。大学を卒業後、大手ゼネコンに入社。企業留学で米国へ渡り、経営大学院でMBAを取得した。経営コンサルタント、教育サービス産業、建設系企業で取締役を10年経験した後、MBOにより、建設、不動産業界の転職に特化した人材紹介会社オズペックを設立。自らの転職経験と経営者として採用側の立場に立った経験を生かし、双方にとって最良のマッチングを追求している