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 「人生100年時代」といわれる今、気力の充実した中高年が増えている。安心な老後を迎えるためには、働けるうちに十分な蓄えをしておかなければならない。建設業界では、求職者側と企業側のマッチングがうまくいき、この年代の転職が好調だという。最終回は、建設、不動産業界専門の人材紹介会社オズペックの瀧嶋誠司社長に、中高年技術者の転職事情を聞いた。(聞き手は、森下 慎一=日経 xTECH)

建設業界における中高年の転職は、どのような状況でしょうか。

 この年代の転職希望者は、定年を前にした55歳あたりから増えていきます。というのは、建設産業の給与は30~40歳代をピークに下がっていく傾向があるからです。さらに、再雇用になると極端に減額される。このため、60歳定年制の会社では、60歳の定年を待たずに転職しようと考える人が出てくるのです。

 正社員が定年退職後に再雇用を希望する場合、企業は新たに雇用契約を結ぶことになります。このとき、給料は現役時代の半分から35%程度にまで減額されることも珍しくありません。

 そこで、再雇用で大幅な減給を受け入れるよりは、別の会社へ移ったほうがよいと考えるのでしょう。60歳になって定年退職してからでは、転職してもほぼ契約社員になってしまうので、定年になる前の50代半ばから転職活動を開始する人が多いのです。

50代後半まで募集があるのは、どのような職種ですか。

 組織設計事務所の工事監理や住宅メーカーの施工管理、品質管理などは募集が多いですね。確認検査機関も以前ほどではありませんが、求人はあります。売り手市場なので、年齢の条件はずいぶん緩和されてきた印象があります。

 例えば、ある住宅メーカーの求人では経験年数を重視して、年齢の条件を「67歳まで」としていました。「70歳で退職するとして、3年間は働いてもらえる」と算段しているのです。

 人手不足が目立つ職種を順番に挙げれば、まず施工管理。次いで設計、営業、見積もり・品質管理といったところでしょう。土木では特に足りていません。

中高年の求人では、処遇はどうなっていますか。

 小さい会社や創業して間もない会社、急成長している会社、オーナー会社などは、大手企業に比べてさまざまな面で融通が利く傾向があります。

 そうした企業は、若さより経験値を重視します。年齢が高くても実績がある人なら、給与条件や転勤希望など、かなり配慮してもらえることが多いようです。この年代は全般的に、満足度の高い良い転職をしているといえますね。

瀧嶋 誠司
オズペック代表取締役&CEO
瀧嶋 誠司 仙台市出身。大学を卒業後、大手ゼネコンに入社。企業留学で米国へ渡り、経営大学院でMBAを取得した。経営コンサルタント、教育サービス産業、建設系企業で取締役を10年経験した後、MBOにより、建設、不動産業界の転職に特化した人材紹介会社オズペックを設立。自らの転職経験と経営者として採用側の立場に立った経験を生かし、双方にとって最良のマッチングを追求している