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 電子商取引(EC)の市場が拡大し続ける米国。米アマゾン・ドット・コムなどインターネット通販の急成長により、物流倉庫の需給が逼迫している。熱を帯びる倉庫開発。米国の不動産投資に積極的な鹿島によると、物流倉庫は最大10万m2クラスの「スーパーボックス」から、需要地の近くに建設する「ラスト1マイル」と呼ばれる小さなサイズまで需要の幅が広いという。変化の激しいECと歩調を合わせるように、物流倉庫の開発・建設にもスピード感が求められている。

米アトランタの郊外で建設中の大型物流倉庫。床面積は約8万6000m2で、サッカー場約12面分の広さとなる。米国では電子商取引(EC)の普及が物流倉庫の建設ラッシュに拍車をかけている(写真:日経アーキテクチュア)
米アトランタの郊外で建設中の大型物流倉庫。床面積は約8万6000m2で、サッカー場約12面分の広さとなる。米国では電子商取引(EC)の普及が物流倉庫の建設ラッシュに拍車をかけている(写真:日経アーキテクチュア)
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 遠景でもカメラのファインダーに収まりきらない巨大なコンクリートの基礎は、地面に置かれた1枚の薄い板のようだった。米ジョージア州の州都アトランタの郊外では、物流倉庫の建設ラッシュが続いている。上の写真はそれら工事現場の1つだ。この建物が完成すれば床面積は約8万6000m2になる。日比谷公園の約半分、サッカー場ならば12面分の広さだ。鹿島の北米現地法人カジマ・ユー・エス・エー社(以下、カジマUSA)の飯澤浩明シニアバイスプレジデントは、「こうした工事現場の風景は、近年の米国ではそれほど珍しくはない」と話す。

 コカ・コーラやCNNなどのグローバル企業が本社を置く大都市アトランタは、市内から四方八方に延びたフリーウエイが周辺の都市に連結する交通の要所だ。郊外では、至る所でデベロッパーによる倉庫用地の取得合戦が続いている。「国土の広い米国なら、巨大倉庫を建てる十分な土地があるだろう」と考えていたが、その考えは甘かった。飯澤シニアバイスプレジデントは「米国では赤信号で右折できるため、右折で敷地に進入できる幹線道路沿いの平地は取得が難しくなっている」と説明する。

米アトランタを東西に横切るインターステイト(州間高速道路)の20号沿いに開発された大型物流倉庫。米国では赤信号でも右折が可能なため、右折で進入できる幹線道路沿いの平地は倉庫用地に適しており、争奪戦が激しい(資料:コア5・インダストリアル・パートナーズ、カジマ・ユー・エス・エー社)
米アトランタを東西に横切るインターステイト(州間高速道路)の20号沿いに開発された大型物流倉庫。米国では赤信号でも右折が可能なため、右折で進入できる幹線道路沿いの平地は倉庫用地に適しており、争奪戦が激しい(資料:コア5・インダストリアル・パートナーズ、カジマ・ユー・エス・エー社)
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 アトランタを東西に横切るインターステイト(州間高速道路)20号沿いを走ると、日本でも有名なグローバル企業の物流倉庫が散見された。カジマUSAの米国子会社コア5・インダストリアル・パートナーズ(以下、コア5)も、2017年に20号沿いに物件を開発をしている。しかし、幹線道路を少しそれると途端に凹凸の多い山道に変わる。飯澤シニアバイスプレジデントは、「初めて取得した建設用地を訪れた際には、どこまでが山なのか分からなかった」と話す。平坦で交通の便が良い敷地を確保するのは非常に難しいという。

 「最近では幹線道路から少し外れた丘陵地に発破をかけて土地をならし、倉庫用地を確保したデベロッパーもある」と飯澤シニアバイスプレジデントは話す。競争が激化する米国の倉庫開発。これはアトランタ周辺に限った話ではない。逼迫する倉庫需要に応じるため、いかに早く倉庫を建設し、売却するかというデベロッパー同士の知恵比べが全米に広がっているのだ。