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 Armサーバープロセッサに関してはこれまで、大きく3つに分類される挑戦の波があった。第1の波は2010~2011年ごろ。Armアーキテクチャーであれば低消費電力のサーバーを実現できると考え、大手半導体メーカーの米マーベル・テクノロジー・グループ(Marvell Technology Group)やスタートアップの米カルゼーダ(Calxeda)がArmサーバープロセッサを市場に投入し始めた。

Armサーバープロセッサの歴史
時期半導体メーカー製品名特徴
2010年~米マーベル・テクノロジー・グループARMADA XP32ビットの独自Armコアを最大4個搭載。米デル(当時)が採用
2011年~米カルゼーダ(当時)EnergyCore32ビットの「Cortex-A9」コアを4コア搭載
2013年~米アプライド・マイクロ・サーキット(当時)X-Gene64ビットの独自Armコアを最大32コア搭載。米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が採用
2014年~米カビウムThunderX/ThunderX264ビットの独自Armコアを搭載(ThunderXは最大48コア、ThunderX2は最大32コア)。米HPEや米クレイなどが採用
2015年~中国ハイシリコン・テクノロジーズHi1600シリーズ64ビットの「Cortex-A57」コアを最大32コア搭載
2016年~米アドバンスト・マイクロ・デバイセズOpteron Aシリーズ64ビットの「Cortex-A57」コアを最大8個搭載
2016年~ソシオネクストSynQuacer64ビットの「Cortex-A53」コアを最大24個搭載
2017年~米クアルコムCentriq 240064ビットの独自Armコアを最大48個搭載
2018年~米アマゾン・ウェブ・サービスGraviton技術的な詳細は不明。クラウドのサービスを開始

 しかし当時のArmアーキテクチャーは、まだ32ビットにしか対応していなかった。既に64ビットのプロセッサが大勢を占めていたサーバー市場に32ビットのプロセッサで挑むのは難しかった。スタートアップのカルゼーダは64ビットのプロセッサ開発にも乗り出していたが、資金が続かず2013年にあえなく事業を終了した。

カルゼーダの「EnergyCore」
カルゼーダの「EnergyCore」
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 第2の波は、Armアーキテクチャーが64ビット化を果たした2013~2014年ごろに始まった。米アプライド・マイクロ・サーキット(Applied Micro Circuits、2017年に米マコムが買収)や米カビウム(Cavium、2018年にマーベル・テクノロジー・グループが買収)が独自にサーバー用コアを開発して、Armサーバープロセッサを市場に投入し始めた。

 第3の波は2015~2016年。アームがスマートフォン用に設計した64ビット対応のコアを使い、手っ取り早くArmサーバープロセッサを実現した半導体メーカーが現れたのだ。中国の華為技術(ファーウェイ)傘下のハイシリコン・テクノロジーズ(HiSilicon Technologies)や米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、日本のソシオネクストなどだ。

 これらの中には、ある程度の顧客を獲得できたメーカーもある。米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(Hewlett Packard Enterprise、HPE)は2018年6月、米エネルギー省に納入するHPE製のスーパーコンピュータ「Astra」に、カビウムが製造するArmサーバープロセッサの「ThunderX2」が採用されたと発表した。

 しかし現時点では、どのメーカーも成功を収めたとは言い難い。米IDCによれば、世界のサーバープロセッサ市場におけるArmサーバープロセッサのシェアは1%に満たない。