インターネット接続に光回線を使う「光インターネット」の時代が到来した。光インターネットの構成や使われている技術、実効速度が上がらない理由など、その実態に迫る。
今の固定ブロードバンドの主役はFTTH(Fiber to the Home)だ。光ファイバーをユーザー宅に直接引き込み、高速伝送を実現する。今の主流のブロードバンドサービスは回線速度が最大1Gビット/秒である。
ところが、そうした回線速度の触れ込みにもかかわらず、実効速度が大幅に遅いという現象が起こっている。実際、総務省には2017年4~10月の間にインターネットの速度が遅いといった苦情が約100件も寄せられた。これは固定インターネット接続に関する苦情の約6%に当たるという。
国内トラフィックは10.8Tに
そうした現象が起こる背景の一つに、トラフィックの急増がある。総務省では、日本国内のブロードバンドサービスによる総トラフィックを推定している。インターネット接続事業者(ISP)大手5社のブロードバンド契約者のトラフィックの合計値と5社の契約数シェアから割り出したものだ。
この5社は、インターネットイニシアティブ、NTTコミュニケーションズ、ケイ・オプティコム、KDDI、ソフトバンクである。
それを見ると、2013年ごろから下りのトラフィックが急激に伸びていることが分かる。およそ年率1.3~1.5倍で推移している。2016年から2017年までの1年で31.6%増加し、ついに10.8Tビット/秒に達した。
全体のトラフィックの急増だけが問題なのではない。むしろ問題なのは、1契約者(ユーザー)当たりのトラフィックが増えていることだ。
こちらも2013年ごろから増加率が上がった。2016年から2017年にかけて29.6%増加し、2017年には1ユーザー当たり276kビット/秒になった。1日当たりの通信量に換算すると約3Gバイトにもなる。