
取引所からの大量流出による「仮想通貨バブル」の崩壊で始まった2018年。FinTech関連読者の関心は、本格的な幕開けを迎えつつあるキャッシュレス社会への動向に注がれた。1位は「クレジットカード大国に異変、若者にFinTechの波」。米シリコンバレー支局長が、クレジットカード大国と呼ばれる米国でクレジットカードを持てない若者が激増しているという現実をリポートした。既存の金融機関が若者への融資に尻込みした結果、30歳未満の米国人のクレジットカード保有率は33%まで落ち込んだ。その結果、FinTech関連のスタートアップ企業に商機をもたらしているという。
ソフトバンクとヤフー連合のPayPayが最近は話題になり、5位には「天丼てんや新店舗は『現金お断り』、ロイヤルHDが展開」、17位には「ファミマがQRコード決済を本格導入へ、ヤフー・ソフトバンクと提携」がランクインするなど、日本にはQRコード決済の波が押し寄せている。そんな中、日経FinTech編集長が警鐘を鳴らしたのが「『QRコード決済』ブームの落とし穴」だった。業界専門誌の編集長自らが中国・上海での取材を通して「別にQRコードが便利なわけではない」と、日本のQRコード決済ブームに疑問を投げかけた。
仮想通貨の流出や東証のシステム障害など、金融システムを揺るがすトラブルも引き続き、関心の的だった。9位の「流出NEMは『全額交換』が濃厚に、なぜ阻止できなかったか」や、4位の「東証がシステム障害の原因公表、メリルリンチがIPアドレスを重複使用」などだ。日経 xTECHは今後も、トラブル事例をどこよりも早く、深く報道していく。一方で、技術は冷静に分析する。2019年もカネと技術を巡る動きから、目が離せない。