前回のコラムで、医療機器の第三者認証が急速に減少している実態をリポートした(関連記事)。今回は、認証機器の中で最大数を占めるパルスオキシメーターを例に、制度自体が抱える問題点について考えてみたい。
ISO規格制定の経緯
医療機器の第三者認証の件数が2万件に達することを前回のコラムで報告した。その中で、一品目当たりの認証総数が最も多いと推定されるのが、パルスオキシメーター関連機器群である。集計してみたところ245件になることが分かった。
ところが、このパルスオキシメーターの認証基準に関して、大きな問題があることが指摘されている。その解決策を探るべく、まずはパルスオキシメーターの開発と規格制定の関係について経過概要を記しておきたい。
商業ベースでのパルスオキシメーターの開発は、1980年代に米国でスタートし、その直後の1985年に同じく米国の発案で、ISO規格制定への準備が始まった。筆者自身も当時から規格制定に関わってきた関係で、制定時の事情などは熟知している。
「当然」という表現が適当だが、その原案は米国から出されたもので、商業ベースでの機器特性を備えていたことは言うまでもない。当初のパルスオキシメーターの基本機能としては、手術室や新生児科での重症患者の呼吸機能をモニタリングすることにあった。目標とした規格制定も、当初の機器仕様に合致していた。そのことがこの機種の主要かつ最大の特徴だったのだ。
1990年代になって制定された最初の規格「ISO9919(医用パルスオキシメーターの基本安全及び必須性能に関する特定要求事項)」には、この主機能を満たす項目が盛り込まれていた。それ以来、この規格が改正されても、根本的な特徴に変化はなかった。