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 2022年3月、CureApp(東京・中央)が“治療用”のソフトウエア(以下、治療用アプリ)として申請していた「高血圧治療補助アプリ(CureApp HT)」の製造販売承認(薬事承認)取得の内定が発表された(正式な取得は同年4月26日)。同社は2020年8月に日本で初の「ニコチン依存症治療アプリ(CureApp SC、略称:禁煙アプリ)」を承認取得しており、こちらは同年12月に保険適用となった。治療用アプリが日本で承認されること自体が新しい時代の幕開けを意味するうえ、今回の承認は「高血圧症対象では世界初」(同社)の快挙であり、治療用ソフトの普及に向けた大きなマイルストーンとなる。

 元来、高血圧症は生活習慣病のシンボルともなっており、不摂生な日常生活によってもたらされることが多い慢性疾患の1つである。にもかかわらず、医療側から施される治療法は「降圧剤の投与」が主体であった。しかし、慢性的な高血圧症の本質的な治療となれば、患者自身が自らの「回復意欲」をもとに生活習慣を見直して、高血圧に起因する生活習慣因子を改善する努力が必要となる。

 高血圧治療補助アプリでは、患者アプリと医師アプリがクラウド上で同期されている(図)。これまでは、「治療/アドバイス」が通院時/入院中だけに限定されていたが、この新アプリを利用すれば、患者と医師が四六時中ネットで結ばれることになる。それにより、高血圧の主因とされる生活習慣についても、担当医師から適切な指導が施されることになる。患者側からは、家庭での定時的な血圧測定記録とともに、「減塩(塩分摂取量)」「運動」「睡眠」「ストレス」といった生活習慣病の因子も入力されるため、降圧剤の使用だけに頼らない効果的な高血圧治療の「指針」を受けられることになる。

図 「高血圧治療補助アプリ」の概念図
図 「高血圧治療補助アプリ」の概念図
患者アプリと医師アプリがクラウド上で同期されている。(出所:CureApp)
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