
会計検査院が2018年11月に公表した17年度「決算検査報告」から、土木工事関連の不当事項を解説します。
16年度会計検査報告の事例解説はこちら。
会計検査院が2018年11月に公表した17年度「決算検査報告」から、土木工事関連の不当事項を解説します。
16年度会計検査報告の事例解説はこちら。
ハザードマップの表示内容が不適切
大阪府泉南市が作った、ため池の水害ハザードマップで、必要な情報が抜け落ちるミスがあった。市が作成業務を外部に委託した際、掲載必須の項目を仕様書に明記しなかったことが原因だ。
植栽工事の設計が不適切
沖縄県伊江村が2014~15年度に防風林を整備したものの、目的としていた防じん効果が期待できない状態になっていた。樹木同士の間隔が空きすぎていた上に、個々の樹木の大きさも足りなかった。
騒音対策工事の設計が不適切
揚水機場に騒音対策を施したのに、効果はほぼゼロ――。騒音の発生源や伝搬経路の究明などが不十分だったため、適切な対応ができていなかった。
擁壁の設計が不適切
香川県三豊市が造成したブロック積み擁壁で、前面に施した盛り土から受ける土圧の扱いを間違えたため、安定性を欠く状態となった。設計の際、「擁壁背後の地山から受ける土圧に対する抵抗力と見なせる」と誤って認識していた。
ため池の堤体の設計が不適切
高知県四万十町が2015~16年度に実施した若井地区のため池復旧工事で、堤体の余裕高が不足した。豪雨で決壊した堤体を造り直す際、堤頂の高さを規定よりも低く設計したため、洪水の際に越流する恐れのある状態になっていた。
法面保護工の設計が不適切
沖縄県が2016~17年度に実施した法面保護工事で、設計ミスによって完成後に風化が急速に進み、一部で崩壊していたことが分かった。土質調査の結果が現況と異なっていたのに、設計を改めずに施工していた。
擁壁の設計が不適切
兵庫県丹波市が2016年度に建設した擁壁に設計ミスがあった。現況と異なる前提条件で設計したため、滑動や転倒に対して十分な安全性を確保できていなかった。
頭首工と護岸の設計が不適切
鳥取県南部町が2013~14年度に整備した堰堤(えんてい)と護岸で設計ミスがあり、いずれも根入れの深さが不足した。当初設計で想定した基礎地盤の位置が間違っていたことが原因だ。護岸の一部では洗掘が進んでいる。
護岸の設計が不適切
島根県が2013~14年度に実施した護岸工事で見つかった設計ミスだ。設計変更の際に基礎の位置を誤って設定したため、護岸の「根入れ深さ」が足りない状態になっていた。
根固め工の設計が不適切
山形県が2016~17年度に実施した護岸工事の根固め工で、設計の不備があった。根固めブロックと護岸との間の隙間を埋める対策を設計に盛り込まず、護岸の基礎が洗掘から守れない状態になっていた。
落橋防止システムの設計が不適切
高知県が2014年度に南国市西山地区で実施した橋の耐震補強工事に設計ミスがあった。基準に対する理解が浅く、本来は設置すべき落橋防止構造を誤って省略していた。
橋の変位制限構造の設計が不適切
埼玉県が熊谷市玉作地区で2016~17年度に実施した橋の耐震補強で、設計時に変位制限構造の設置位置を誤った。地震時に落橋を防ぐ機能を果たせない恐れがあるばかりか、既存の支承にも悪影響を及ぼす状態になっていた。
橋の横変位拘束構造の設計が不適切
山口県萩市が2014~15年度に実施した橋梁の架け替え事業で、耐震設計のミスがあった。橋台に設けた耐震構造の耐力照査が不十分で、必要な安全性が確保されていなかった。
橋の変位制限構造の設計が不適切
橋の耐震対策として上部構造の落下を防ぐ変位制限構造を巡る設計ミス。和歌山県が2014年度に実施した串本町上田原地区の橋梁上部工事で、設計者の誤認から、本来なら設ける必要がある変位制限構造を省略していた。